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2006.01.07

三井記念美術館の日本橋絵巻展

266今日からはじまった三井記念美術館の開館記念展の第2弾、“日本橋絵巻展”(前期1/7~28、後期1/31~2/12)をみてきた。

最初の展覧会では、三井家が所蔵する質の高い陶磁器や絵画などの美術品をごっそり出品し、観る者をうっとりさせたが、今回もまた日本橋が描かれた風俗画や風景画で目を楽しませてくれた。ドイツから里帰りした風俗絵巻が一番の見所だが、国内の美術館から集めてき
た歌川広重や溪斎英泉らの浮世絵が凄い。摺りの状態が一級なのと日本橋を描いた絵がバラエティーに富んでいる。よくぞこれだけの作品を揃えたものだと感心する。

ベルリン東洋博物館が所蔵する日本橋繁盛絵巻“熈代勝覧”(きだいしょうらん)は
12メートルの巻物で、1805年当時の日本橋通りの光景を描いている。江戸の
文化・経済の中心である日本橋界隈を行き来する商人、武家、僧侶、職人、芸能者、
修行者などが1671人描き込まれているという。これを数えるのは根気がいる作業
だと思うが、そのくらいいるらしい。

洛中洛外図で人の動きやしぐさ、顔の表情を見る目を養ったので、蟹の横ばいスタ
イルでじっくりみた。ここは魚河岸があり、三井越後屋などの店が立ち並ぶところ
なので、洛中洛外図にでてくるような岩佐又兵衛風のダイナミックな動きとか、あけっ
ぴろげな男女の恋などは勿論ない。でも、この通りは美味しい食べ物や最高の衣装
を求めて粋な人々が集まるところ。すれ違う黒頭巾の女性を振り向いて眺める男
の場面などがちゃんと描かれている。どこにでてくるかは見てのお楽しみ。

隣にいた小学生の女の子の目は鋭い。“可愛い犬がいる!”。こちらが気がつかない
ところを見ている。お返しに、鷹匠の男や猿を教えてあげた。右の日本橋の手前(画面
の右端からむこう)が一番人が多い。魚河岸から魚を運ぶ男たちなどで路上は足の
踏み場もないくらい大混雑。日本橋の下では数えきれないほどの舟が川岸に接岸し、
男たちがてきぱきと魚を上にあげている。その向こうに富士山がみえる。江戸といえば
日本橋と富士山がお決まりのモチーフ。

庶民の生活を活写したこんな面白い風俗画が日本に無く、ドイツの博物館に収まって
るというのは複雑な気持ちになる。が、この絵巻に限ったことでなく、北斎の富嶽三
十六景でも最上の版画はギメやメトロポリタンにあるのだから、気にすることはない。
三井記念館や三越があった場所の200年前の賑わいを存分に楽しんだ。

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