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2006.01.20

勝川春章の美人画

271浮世絵版画で人気の高い美人画というと、喜多川歌麿とか鳥居清長が描く女性であるが、肉筆画では勝川春章の美人画が断然いい。

MOAはその勝川春章の名品を2点も所蔵している。“雪月花図(三幅対)”と“婦女風俗十二ヶ月図”。共に重文に指定されている。

今回、“雪月花”がでた。昨年からずっと待っていたのでちょっと興奮した。期待にたがわぬ名品である。過去見た春章の美人画のベストは、出光が所蔵している“美人鑑賞図”だったが、“雪月花”はこれを上回った。びっくりするほど綺麗な美人画。三幅対になっている雪月花を清少納言、紫式部、小野小町という王朝の三才媛の見立て絵として、これを江戸時代の市井の婦女風俗に描きかえている。

右は真ん中の“月”で、紫式部に見立てている。筆を持った右手で頬杖をつき、しば
し筆を休めているところ。白い顔がまばゆい女は艶麗でありながら、気品がある。
黒の着物が鮮やかで、文様の繊細な描写が見事。左の“雪”では水鳥の柄の
帯をしめた立姿の女性が両手で簾を下ろしてる場面が描かれている。“月”同様、
丁寧に描き込まれた着物の文様に見とれてしまう。足元には白黒の犬がいる。
春章の美人画では犬が描かれることが多い。右の“花”では青い帯が目にとびこん
でくる。色が輝いてるのは相当良質の顔料を使ってるからだろう。

勝川春章(1726~92)は錦絵を生み出した鈴木春信(1725~70)と同時代を
生きた絵師。錦絵の誕生で可能になった写実表現を活かした役者似顔絵で注目を
あつめた。50歳以降は肉筆美人画に専念し、数々の名品を残している。肉筆画
に興味をもつきっかけとなったのが、3年くらい前、出光美術館であった“肉筆
浮世絵名品展”。それまで肉筆画へ関心は版画に較べ低かったが、この展覧会
で勝川春章の素晴らしい美人画をみて、肉筆画にたいする認識ががらっと変った。
次のターゲットである“婦女風俗十二ヶ月図”を早くみてみたい。

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