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2006.01.16

加山又造の鶴舞

275昨年、はじめて訪問した川村記念美術館に加山又造作の“円舞(鶴舞)”があることを知り、いつかお目にかかりたいと願っていたら、意外に早く、それが実現した。

この絵は日本画展示室の長谷川等伯の“烏鷺図屏風”の対面に飾ってあった。四曲一双の屏風に描かれた美しいタンチョウヅルの舞にしばし時間が経つのも忘れて見入っていた。左隻に2羽のタンチョウが共に羽を大きく広げて、向かい
合って飛び跳ねてる姿が、右隻に3羽が背を曲げ、首と頭を上に伸ばし加減にバレリ
ーナのように美しく舞ってる風景が描かれている。

これまでツルの絵を沢山みてきたが、これほど光沢があり、質感が表われた白は
みたことがない。惚れ惚れするツルの絵である。そして、ツルの足元の草花や背景の
描写が実に緻密。画面から離れると見えないが、靄がかかった背景には銀箔が
細かく撒かれ、夢幻的な雰囲気を生み出している。この絵は加山が55歳のときの
作品。43歳のとき描いた“千羽鶴”のような、形や色が様式化された装飾的な絵画
空間をみてると気持ちがハイになってくるが、白と黒の単純なコントラストが美しい
タンチョウヅルを写実的に表現したこの絵にも魅了される。

この頃、加山は新しい水墨画に挑戦し、“月光波濤”や“凍れる月光”など現代的な
水墨画の傑作を描いた。画家の強い精神性を表現した中国の水墨画とは違う、日本
の情緒性を装飾的に描いた独自の水墨画である。山種美術館に大作“月光波濤”の
小型ヴァージョン“波濤”がある。岩に波が激しくぶつかり、あたり一面に波しぶき
が飛び散る見事な絵。この絵で加山又造の虜になった。以来、加山の作品を追っか
けている。

因みに、明治以降の日本画家が描いた水墨画の中で群を抜く傑作と思ってるのは、
横山大観・“生々流転”、横山操・“越後十景”、加山又造・“波濤”、千住博・“ウォー
ターフォール”、日本人ではないが、王子江・“雄原大地”の5点。加山又造の絵を見た
くてしょうがないのだが、生憎、仕事の関係で東京を長く離れていたため、回顧展を
見る機会がなく、画集に載ってる代表作はまだ6割くらいしか観てない。心は熱くだが、
静かに展示のときを待っている。加山又造の以前の記事は拙ブログ05/6/16

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コメント

加山又造のまとまった展覧会は近代美術館であったんですよね、図録が吉祥寺の古本屋で売っていました。
まあ又どこかで開催されるでしょうね。
しかし加山の裸婦のえは僕はいただけない、いづつやさんはいかがですか。
なんか現代の浮世絵師を目指したとかで、それなら春画があっても当然ですがー。

投稿: oki | 2006.01.17 23:02

to okiさん
加山又造の装飾的な絵も好きですが、水墨画にも魅了されます。
山種美の“波濤”は何時間でも見ていたくなるようは絵です。大回顧展を待
ち望んでます。

加山又造の裸婦は日本画家では大胆な作品ですね。最初はドキッとし
ましたが、才能のあるひとはいつの時代でも多面的ですから、これもありか
なと思ってます。加山のほかに裸婦をかいた日本画家に杉山寧がいま
すが、横向きポーズの“響”といういい絵が山種にあります。

投稿: いづつや | 2006.01.18 10:00

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