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2006.01.17

市川市東山魁夷記念館

276昨年11/12にオープンした市川市東山魁夷記念館で行われていた開館記念展を1/15の最終日に見てきた。

山種美術館の“日本の四季展ー雪月花”でみた東山魁夷の“年暮る”(拙ブログ12/11)の余韻がまだ体に残っていたのか、先週訪れた畠山記念館で偶然、この展覧会のチラシが目に入った。開館記念展というのは美術館にとって特別のセレモニーなので、いい絵を数多く出品してるだろうと睨み、15日午前中に
出かけた。

バスを降りて、美術館はどこにあるのかなとキョロキョロしてたら、すぐ前の建物が
記念館だった。もっと大きな美術館と思ってたが、全然イメージとちがっていた。
住宅地の一角にあるこじんまりとした美術館。この広さなら、数はあまりなさそうと
直感し、帰りのバスの時刻を確認して入館した。1階に展示してあった東山魁夷が使
った絵の具などの身の回り品はパスして、作品が飾ってある2階に急いだ。

スケッチ、習作、完成作品などが50点くらいあった。館自慢の絵、“夏に入る”
(1968)、“ツェレの家”(1971)、“緑の微風”(1985)、“湖岸(試作)”(1991)、
“雪野”(1992)は当然ながら東山魁夷の代表作。後で、過去みた大回顧展(1993
年:名古屋松坂屋と2004年:兵庫県立美術館)の図録をチェックすると、“京洛四季“
の連作の一枚で、初夏の竹林を描いた傑作“夏に入る”は2回とも出品されていた。
“ツェレの家”と“雪野”は04年の展覧会に出品。また、93年のときには“緑の
微風”、“湖岸”と似た作品が出ている。

このなかで、兵庫県立美の“ツェレの家”はかすかに記憶しているのに、“夏に入る”
と右の“雪野”の印象が薄いのは、この2点の作風が東山魁夷の絵を特徴づける
青の風景画と異なるからかもしれない。冬の時期、この“雪野”に出会えて幸せな気分
である。気品を感じるとてもいい絵。画面に沢山描かれた縦に長い野草はビジーな
感じを与えず、草に少しばかり積もった雪の白と背景にちりばめられたプラチナの箔が
えもいわれぬ美しさを醸し出している。この冬は東山魁夷の雪景色を表現した名画、
“年暮る”と“雪野”で心が洗われた。

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コメント

市川に住んでいながら
結局行けませんでした・・・
近すぎるといつでも行けるからと
思ってしまうのは世の常ですね。

投稿: Tak | 2006.01.17 23:07

to Takさん
国民画家のイメージが膨らみすぎて、勝手に大きな美術館を想像し
てました。代表作は既にみたものでしたが、名画は何回みてもいい
ものです。また、“道”などの習作をいくつも見れたのが収穫でした。
今年は長野市にある東山魁夷館を訪問しようと思ってます。

投稿: いづつや | 2006.01.18 10:29

始めて訪問させていただきました。
これからもときどき読ませてください。

もう15年も前、長野市の善光寺近くの記念館を訪ねた時の感想です。

「東山魁夷館の感動的な時間」

 先日、所用で長野へ立ち寄った。その折り、思いがけずにも信濃美術館・東山魁夷館を訪ねた。まさに偶然か宿命か、すばらしい感動のひとときを持つことが出来た。
 館内のビデオで「道」と題した魁夷の世界を観た。魁夷は「風景自体が心を語る。風景は心の祈り、心の糧。描くということは心の映像を定着させる作業。」という。
 スケッチを趣味とする自分だが、「残照」「郷愁」等、人間の息吹を感じる風景、人間の心の象徴として風景を前に、新たなる思いで風景に対し絵を描きたい衝動に駆られた。「新しい筆を執らん。感動を、自然を、素直に我が眼で我が心で。」と。いままでなんと自然を表面的に観てきたか。奥深い心からの感動、見方があることに気づいた。
 ラウンジから庭園を望む。寒気さわやかに、小さな雪が音もなく静かに落ちている。森閑とした松林の向こうに善光寺の大屋根が眠る。美を求める心の過程の偉大なるを知り、豊かな感動的な時間を持てたことがありがたかった。        

投稿: 会津マッチャン | 2006.01.19 11:28

to 会津マッチャンさん
はじめまして。書き込み有難うございます。偶然見つけたチラシが
市川の記念館に導いてくれました。日本の風景画では北斎、広重、
東山魁夷、奥田元宋をこよなく愛しております。

東山魁夷の作品は93年、04年の大回顧展のおかげで代表作の大半を
みることが出来ました。普段は山種美術館にでてくる絵を楽しんでます。
今年の冬はいつになく“年暮る”を何度もみてました。冬の絵で日本人
が一番感情移入できるのは、広重の“東海道五十三次・蒲原”と“年暮る”
ではないかと思ってます。

04年の回顧展(兵庫県立美術館)のとき、展示替えで長野市にある
記念館蔵の“木枯らし舞う”、“夕静寂”などのいい大作を見逃しま
したので、今年はここを訪問しようと計画してます。お体ご自愛なさって
ください。これからもよろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2006.01.19 14:41

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