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2006.01.08

上村松篁の花鳥画

267九段下の山種美術館では1/5から“日本の四季展ー雪月花ー”の後期がはじまった(1/22まで)。

前・後期通して出品される19点はダブルものの、後期には広重の版画3点を含め、26点でてくるので、また、出かけた(前期の記事は拙ブログ12/11)。

奥村土牛の絵、4点はいずれも小品で、今年の干支にちなんだ犬の絵が2点ある。可愛い子犬を扇子の絵柄に使っ
てる“戌年”がいい。また、じっと見てると晴れやかな気分にさせてくれるのが金地
に紅白の梅を描いた“紅白梅”。堅山南風の大きな絵、“彩鯉”も見ごたえがある。
6匹の鯉の配置が巧み。横山大観の絵は3点ある。青い海と白い波が印象的な
“松・白砂青松”と名作“富士山”に足がとまる。龍のような雲が左から斜め下に出て
きて富士の山腹をかこむ“富士山”は大観の代表作の一つ。

ここには“蓬莱山”、“海山十題の黎明”、“喜撰山”、“作右衛門の家”などの名画が
あるのだが、過去他の美術館で行われた回顧展で見ることはあっても、この展示室で
これらにお目にかかることは無かった。今回はじめてAクラスの“富士山”に出会った。
アベレージの大観ではなく、見て唸るような代表作をもっと頻繁に出してくれればい
いのだが。

後期だけの作品より、出ずっぱりの方にいい絵が多い。右の絵はポスターに
使われてる“竹雪”。描いたのは上村松篁(うえむらしょうこう、1902~1992)。
女流美人画家、上村松園の息子。これまで3回くらいこの絵をみたが、いつも絵の
前にいる時間が長くなる。この絵には観る者を吸い込むような力がある。左上から垂
れてる笹にはこんもりと雪がつもり、笹に隠れるように一羽の鳩が佇んでいる。実景
ではなく、鳩が雪の陰にいたら美しいだろうと画家が想像して描いたもの。画面は
あくまでも静謐で、幽玄的な美を感じる作品である。

上村松篁には竹の笹に積もった雪と鳥を描いた絵が3枚ある。これは最初の絵。
1977年の作で、このあと、丹頂鶴(1980)、鴛鴦(1982)と続く。なかでもこの
“竹雪”が気に入っている。自宅で多くの種類の鳥を飼っていた松篁の花鳥画には
色々な鳥がでてくるが、拙ブログ05/7/26で取り上げたのは熱帯にいる鳥。
松篁の格調高い花鳥画に魅せられ続けている。

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コメント

この写真の絵いいですね・・
実は私、昨年春に高崎タワー美術館で
「受けつがれる美へのまなざし 上村松園・松菫・敦之」と言うのを見ているのですが、
その時には、親が偉大すぎると。。と思ったの(^^;

リンク先の桃の話、
ちょうど見ていた福田平八郎の画集に4枚入っていました
こちらはもいだ桃ですが・・・

投稿: えみ丸 | 2006.01.09 20:01

to えみ丸さん
あけまして おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
上村松篁と息子の淳之の花鳥画を観るとほっとします。
動物園と変らないくらいの数の鳥を自宅に飼い、毎日鳥の姿を観察し、
美しい花鳥画を描いていた松篁の生活はとても真摯なものですね。

今は上村淳之の作品に期待してます。松篁の絵と較べ、飛んでいる
鳥に独自の画風を求めた淳之の作品も魅力一杯です。

投稿: いづつや | 2006.01.09 22:55

友だちが、上村淳之の絵「双鶴」の年賀状を貰ったと写真送ってくれました
下呂温泉のある宿からです
毎年「上村淳之」に頼んで絵を描いてもらい、それを年賀状にするそうです

なんと贅沢ね年賀状でしょうね
それらの絵は宿が所蔵しているらしいです(驚!)
飛んではいませんが、いい絵です

投稿: えみ丸 | 2006.01.10 21:35

to えみ丸さん
上村淳之の“双鶴”が絵柄になってる年賀状をもらうと、気持ちがぐっと
お正月らしくなるでしょうね。もう少し経つと、この日本画家も文化勲章を
もらうような気がします。そうすると3代にわたって、上村家は文化勲章を
国から戴くことになるのですが。これからも心を打つ花鳥画を沢山描い
てもらいたいですね。

投稿: いづつや | 2006.01.10 23:39

いづつやさん、こんばんは。
山種に行ってきました。私も上村松篁の描く動植物にはいつも心を和ませるものを感じます。新春にふさわしく清々しい気持ちになる絵がたくさんありましたね。いづつやさんが前期記事で触れていらっしゃる酒井抱一の絵を観られたのが私的に嬉しかったです。

ということで、トラックバックさせていただきますね(^^;

投稿: June | 2006.01.14 01:02

to Juneさん
TB有難うございます。年末と新春にまたがる日本の四季展は充実し
た展覧会ですね。日本画でテーマが雪月花とくれば、山種に敵うの
は東近美くらいでしょうか。いい絵が揃ってます。

上村松篁の“竹雪”は冬の季節には欠かせない名品ですね。酒井抱一
にしろ、上村松篁にしろ、白の描き方が上手いです。白は日本美の
一つの象徴ですから、画家の精神性が白にでてくるような気がします。

2/5からはじまる東京美術倶楽部の“美の伝統展”は久しぶりの超大型
日本美術展です。近代日本画もふだんは観れない個人が所蔵する名画が
いくつも出品されるようです。ワクワクしてます。

投稿: いづつや | 2006.01.14 17:04

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» 「日本の四季―雪月花」展 [花耀亭日記]
山種美術館で「日本の四季―雪月花」展を観た。 http://www.yamatane-museum.or.jp/ 東京に来てからは、四季ごとに山種を訪れているような気がする。正月は干支や富士山などの新春にちなんだ作品が展示されており、なにやら心が晴れやかになる。今回は日本の四季、それも雪月花をテーマに、日本らしい四季の移ろいと月の風情を織り込んだ作品が並んでいた。 やはり展示が明治以降の日本画作品中心であることもあり、酒井抱一(1761-18... [続きを読む]

受信: 2006.01.14 01:04

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