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2006.01.05

鳥居清長の美人画

264渋谷の東急東横店で開催中の“浮世絵にみる女性の装い展”(1/11まで)は予想を上回る良質の展覧会。

デパートの会場なので、手狭な感は否めないが、なかなかいい美人画が多く、しかも料金は700円と安い。

浮世絵の華である美人画は菱川師宣以来、多くの浮世絵師に数限りなく描かれただろうが、ここには50人の絵師が制作した120点が飾られている。美人画
のビッグスリー、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿をはじめ、風景画を得意とする
葛飾北斎、歌川広重や歌川豊国、歌川国貞、歌川国芳、溪斎英泉、菊川英山
らが描いたいろんなタイプの美人画が次から次と出てくる。

照明が当たってる作品もあるので、浮世絵版画の見所である細かい描線
まで楽しめる。肉筆画、版画の両方あるが、版画のほうに名品が多い。春信では
代表作の“笹森おせん”と“風流江戸江戸百景・浅草晴嵐”がいい。淡い色調
で描く少女のような美人画をみていると甘美で夢心地な気分になる。

これとは対照的に、天明年間(1784~1788)に絶頂期を迎えた鳥居清長が
描く女性は写実的。なぜこんなに背が高いのかといつも不思議におもうのだが、
理想的な8頭身。そして、顔はヴィーナスのように美しく、体全体から健康的な色香
を漂わせている。清長の革新的なところは大判を続絵にして大画面を構成し、ここ
に日本人の実体とは違う理想的な美人を何人も描いたこと。

巧みな群像表現が目を惹くのが右の“亀戸天神太鼓橋”。亀戸天神の名物である
藤棚の下に綺麗な着物姿の5人の清長美人が描かれている。拙ブログ11/29でとりあげた山本丘人の静かで雅な絵とは異なり、豊かな町人文化の空気を感じさせる
生気あふれる美人画である。じっとみていると、この輪の中に入って一緒に歩きた
いという衝動にかられる。

はじめてみる絵で印象深いのが歌川豊国の“両国花火之図”。三枚続きを上と下に
並べ、大画面をつくる絵は過去、見たことがない。下の三枚には芸者衆や酔っ
払った客が乗ってる納涼船を、上の三枚に橋の上から花火を観ている群衆を描い
ている。豊国はやはりたいした絵師だ。この絵と雪の中、近景に傘をさした女を大き
く表現した広重作、“見立浮ふね・隅田川の渡”が一番の収穫かもしれない。
もちろん、歌麿の艶っぽい美人画も存分に楽しんだ。なにか随分得した気持になる
展覧会である。

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