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2005.12.22

稗田一穂の豹のいる風景

251先頃あった山本丘人展で感銘を受けた日本画家、稗田一穂(ひえだかずほ)の非常に変わった絵を世田谷美術館でみた。

世田谷には多くの画家、文人が住んでおり、稗田一穂のアトリエも成城にある。それでこの美術館に稗田一穂の作品があるのだろう。

企画展をみるためここに来ることは何回かあったが、所蔵品には縁がなかった。
“堂本尚郎展”を鑑賞したあと時間があったので、2階に上がって平常展(12/24
まで)をみた。ここの所蔵品はてっきり洋画ばかりと思ってたのに、淡い色調が特徴
の吉田善彦とか日本美術院の同人、郷倉和子、稗田一穂、加倉井和夫、今年亡
くなった上野泰郎の日本画があった。山本丘人を師と仰いだ稗田一穂と上田泰郎の
作品は練馬区立美術館に2度も足を運んだので、画風が頭によく残っている。が、
稗田一穂(1920~)の若い頃の絵に驚いた。

右の“豹のいる風景”は稗田、32歳のときの作品。近代西洋画が好きな人なら、
これが誰の絵に似ているかはすぐわかる。そう、アンリ・ルソー。ありゃりゃ。。
日本画家の描く絵がなんでルソーなの?という感じである。96年、ここであった回顧
展の図録の表紙にこの絵が使われている。練馬区立美でみた画風とあまりにも
違いすぎてるので頭がくらくらした。

図録をみると、稗田は40歳くらいまで、熱心に鷹、カラス、鶴など鳥の絵を描いて
いる。加山又造の初期の作品にでてくるカラスや狼の表現方法とどことなく似ている。
そのなかで異彩を放っているのが、鳥を脇役にして手前に黄色い豹を横から大きく描
いたこの絵。ルソーのように豹がいるのは熱帯のジャングルでは無いが、豹のまわり
で木にとまったり、飛んでいるのは色が鮮やかな南方系の鳥。油絵のように写実的に
表現するのは日本画の材料、岩絵具では限界があるのに、明るい色調でルソー風
の雰囲気をよく出している。

後に水墨画の傑作、龍の出てくる那智の滝を描いた画家にこんな豹の絵があった。
画風をぱっぱと変えていくのが画才のある人の歩む道。思わぬところで忘れられそうに
無い面白い絵を見た。

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コメント

僕は世田谷にいるので世田谷美術館はしょっちゅう行きますが、ここはもともと素朴派のコレクションで有名ですよね。
ここは五百円図録セールをやってますが、いづつやさんも五百円の穂田の図録を購入されたようですね。
僕は開館十周年「世田谷の美術」というのを購入しましたが、ここの美術館のコレクションの充実振りを再確認しました。

投稿: oki | 2005.12.22 23:35

to okiさん
平常展に飾られていたルソーの絵を観て、この美術館が素朴派の絵を
いくつか所蔵してることを昔、何かの本で読んだのを思い出しました。
たしか、絵葉書になってる“フリュマンス・ビッシュの肖像”だったような気
がします。ルソーは好きな画家なので、ビッグなオマケでした。

稗田一穂が描いた豹の絵がここにあるのは、ルソーとの縁でしょうか?
不思議な魅力をもった絵ですね。

投稿: いづつや | 2005.12.23 18:07

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