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2005.12.10

キアロスクーロ展

239美術作品はなるべく幅広く鑑賞しようと考えているが、初物というのはどうしても優先順位が低くなる。

北斎展をやっていた東博に行く度、途中、前を通る国立西洋美術館の“キアロスクーロ展”(12/11まで)の看板が目に入り、観ようかパスしようか迷っていた。

そんなとき、朝日新聞の文化欄に右の“ディオゲネス”の鑑賞記が載り、この
多色刷り木版画の原画はマニエリスト、パルミジャニーノによって描かれたことを
知った。パルミジャニーノの絵には魅せられているので、急に興味が涌き、
入館してみた。

西洋の白黒版画で好きなのは、ショーンガウアー、デューラー、レンブラント、
ゴーギャン、ムンクの作品。ゴッホやピカソにもいくつかいいのがある。色つきの
特○はロートレックとミュシャ。白黒で一番衝撃を受けたのが04年にあった
大英博物館展でみたデューラー作、“騎士と死と悪魔”および“メランコリア”。
画集に必ず掲載されてるこのデューラー版画の傑作を唖然として観たのを今で
も鮮明に覚えている。美術鑑賞歴のなかではエポック的な体験だった。

今回出品されてる多色木版画(キアロスクーロ)はこれまで観たことが無い。
浮世絵の多色刷りは日本人なら誰もが親しんでいるが、ルネサンスやバロック
時代の色つき版画については全くNO情報。多色木版画では輪郭線を出す版と
彩色する版をいくつか使い、あるいは色を出す版を重ねて作品を仕上げる。
右の“ディオゲネス”の場合、緑系統の4つの版を使い、色味の違いで立体感を
出し、ミケランジェロ風の彫刻的な人物を描いている。カルビが制作したこの
キアロスクーロが全体の中ではとびぬけていい。

こんな木版画がルネサンス、バロック期にドイツやイタリア、フランドル、オランダ、
フランスでつくられてたのを知ったのが収穫である。そして、ギリシャ神話好き
としては、おなじみのヘラクレス、ウェヌス、クピトなど神話の主人公を登場さ
せてくれたのも有難かった。版画は書物に記述された話を視覚化してくれる貴
重な媒体で、描かれた人物の線や構成は粗くても、取り上げられた題材はい
ただきである。また、図録の隣にあった“西洋版画の見かた”(国立西洋美)と
いうコンパクトなハウツー冊子が手に入ったのも良かった。

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コメント

僕が行ったときもがらがらでしたね、西洋美術館は。
新聞社の主催、後援とかがないといつもこんな状態なのかなー。
ティツィアーノが面白かったです。
版画家に全面協力せずに版画家が作品をつなぎ合わせたというようなことが解説にかかれてましたよね。
さて僕は損保ジャパンにいってまいります。

投稿: oki | 2005.12.11 13:09

to okiさん
この版画の原画を描いたのがパルミジャニーノ、ラファエロ、ティツィ
アーノ、マンテーニャだというのが、興味をそそられました。ティツィアーノが
描くウェヌスは柔らかいですね。マンテーニャの“カエサルの凱旋”は
原画をみるようで楽しかったです。

この版画展で俄然原画が観たくなったのがグイド・レーニの“ユピテルの
雷電に押し潰される巨人族”です。結構、絵画情報のつまった展覧会でしたね。

投稿: いづつや | 2005.12.11 17:58

こんばんは。
展覧会もなかなかでしたが、
ハウツーの本もなかなか良く出来てましたよね。
西洋版画をしっかり見せてくれる美術館など、
ここぐらいしか思いつきませんから、
これからもまた質の高い版画を見せていただきたいです。

投稿: はろるど | 2005.12.20 01:03

to はろるどさん
版画の出来栄えでいえば、最初にあったブルクマイアー、クラーナハと
チラシに使われてるカルビの作品がトップではないかと思います。

ハウツー本は嬉しいオマケでしたね。普通の本屋にはありませんから。
西洋美にはデュラーの版画展を開催してくれないかと密かに期待して
います。はたして実現するでしょうか?

投稿: いづつや | 2005.12.20 17:13

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