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2005.12.30

華麗なる吉田屋展

259今年最後となる展覧会を見に、銀座松屋に出かけた。開催を半年くらい前、新聞紙上で知り、心待ちにしていたのが今日からはじまった“古九谷浪漫 華麗なる吉田屋展”(来年1/16まで)。

緑、黄、紫、紺青が鮮やかな古九谷様式の色絵磁器に深く傾倒し、今では陶磁器鑑賞の楽しみの一つになっている。最近では昨年9月、出光美術館の“古九谷展”に出てた大皿が目に焼きついている。

その古九谷を再興したものが“吉田屋”といわれる色絵磁器で、現在でも古九谷同様、
愛好者は多い。石川県の加賀市にある石川県九谷焼美術館を開館(02年)直後に訪
ねたので、吉田屋の作風はすこしは頭に入ってる。でも、そのときは古九谷様式の方を
一生懸命に観たので、吉田屋に対する感激度はそれほど高くはなかった。だが、今回
は吉田屋に焦点を当てたはじめての展覧会であり、しかも200点近くも観れるという
ので、朝からソワソワし、落ち着きが無かった。

17世紀中ごろの古九谷の場合、大皿が中心であるが、120年後の1824年に
再興された吉田屋は大皿だけでなく、生活を彩る器として平鉢や花鉢、さらに
茶碗、水指などの茶道具、香合など作品は多岐にわたっている。その多くは古九谷
の豊かな色彩を再現し、なかには古九谷をも上回る色彩や大胆なデザインで観る
者をハットさせるものもある。

右は一番魅せられた“鷺に柳図平鉢”。地の黄色、柳の幹の紫、鷺の緑がよく
出ているのと、余白をとり、鷺と柳を巧みに配置した構図に感心させられた。柳の細
い枝が右上から左にまわり、一部器から消えたあとまた、左上から垂れている。
このあたりのデザイン感覚は琳派の絵を見るようで味わい深い。他では、紫色をし
た伊勢海老の姿に惹きつけられる平鉢が2点でている。1点は出光美の所蔵で、
昨年の展覧会でお目にかかった。また、石川県立九谷焼美でもみた“百合図平鉢”
は館自慢の優品。百合の花の紫と紺青、葉の緑が鮮やかなので今でもよく覚え
ている。

大聖寺城下(現在の加賀市)の豪商、四代豊田伝右衛門が72歳のとき、陶工を
集めて、古九谷を再興した色鮮やかな吉田屋(伝右衛門の屋号が吉田屋だったの
でそう呼ばれる)は7年間窯で焼かれたが、伝右衛門の死とともに消える。が、その
技は加賀の地で受け継がれ、会場に展示されてる明治以降の初代徳田八十吉、
北大路魯山人、富本憲吉らの作品にも古九谷風の色彩や意匠がみられる。

期待値以上の優品揃いに圧倒された。忘れられない展覧会になりそう。なお、この
展覧会はこのあと次の所に巡回する。
・石川県立九谷焼美術館:06/1/28~3/26
・京都高島屋:4/5~4/17
・茨城県陶芸美術館:4/22~6/25
・名古屋松坂屋美術館:7/1~7/17

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コメント

こんばんは。
この時期になると美術館やってませんからね。
松坂屋ですか、いいもの開催していますね。

来年までやっているようなら行けそうです。

さてさて
今年は実際にお逢いすることも多くでき
直接お話も伺えて大変有意義な一年でした

どうぞ来年もまた宜しくお願い致します。
よいお年をお迎え下さい!!

投稿: Tak | 2005.12.30 23:25

to Takさん
銀座松屋で展覧会を観るのははじめてです。Takさんもみられた出光美
の“古九谷展”にでてた吉田屋もいくつか、しかもいいのがでてます。
また、石川県に行きたくなりました。

今年は、Takさんにとって、日経に取り上げられるなどエポックの年で
したね。私も、王子江さんの絵にであったり、ご本人とお話ししたり、
いいことが結構ありました。来年から銀座のギャラリーを少しずつ回ろう
と思ってます。

来年はまたお会いしたいと思います。よい年をお迎えください。奥様にも
よろしくお伝えください。

投稿: いづつや | 2005.12.30 23:51

いづつや様
こんにちは。TBさせていただきます。
会期終了前で会場は結構込んでいましたが、充実の品揃えで正直驚きました。
焼き物はまだ初心者な私ですが、平鉢の空間の取り方が非常に気に入りました。
また吉田屋がなければ古九谷が現代まで残る技術・工芸とならなかった、と考えると非常に興味深かったです。

投稿: アイレ | 2006.01.16 03:21

to アイレさん
書き込み、TB有難うございます。古九谷様式の色絵磁器に魅せられて
ます。今回の吉田屋展にはいい作品が沢山出てましたね。加賀市に
ある石川県九谷焼美術館を訪れましたので、吉田屋の古九谷復興の話は
知っていましたが、今回現地に作られたプロジェクトチームの調査で
明らかになった吉田屋の制作秘話に大変刺激を受けました。

粟生屋源右衛門が開発した釉薬や天才絵師、鍋屋丈助の存在など興味
は尽きないですね。新日曜美術館が取り上げてくれたので吉田屋の理解が
進みました。また、石川県へ行き、九谷焼めぐりをしようと思ってます。
これからもよろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2006.01.16 14:45

こんばんは。
勝手にTB打たせていただきました。
私は石川在住です。
本家(?)の九谷焼美術館の方にもお越しくださいね!

投稿: あさぴー | 2006.03.13 22:07

to あさぴーさん
はじめまして。書き込み、TB有難うございます。“華麗なる吉田屋展”は
よかったですね。時折、図録をひっぱりだし、鮮やかな色に酔いしれてます。
次回の九谷焼めぐりでは加賀市以外で九谷焼を見れる展示館を訪問しよう
と思います。いつもすばらしい九谷焼を楽しめる地元の方が羨ましいです。

投稿: いづつや | 2006.03.13 22:23

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