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2005.12.28

ルーシー・リーの花生

25711月初旬、ホテルニューオータニ美術館で開催されていた“ルーシー・リー展”(9/10~11/20)を鑑賞したが、この女流陶芸家の作品に東近美・工芸館の人間国宝コーナーでまた出会った。

オーストリア生まれのルーシー・リー(1902~1995)が制作した陶磁器をみたのはニューオータニ美がはじめてで、東近美にルーシーがあったのは全く想定外。

海外の陶芸家はバーナード・リーチしか頭に入ってなく、ルーシー・リーという名前
も作品もこれまで縁がなかったのだが、10月に放映された新日曜美術館のアート
シーンで紹介されたのがトリガーになり、ルーシーの作品に巡り会った。人間国宝
のコーナーには花瓶、鉢、コーヒーセットなど8点あり、ニューオータニ美では花生、
鉢、テーブルウェア60点が出品されていた。

右はニューオータニにあった花生で、東近美にも似たような色をした小鉢がでている。
期待値がそれほどなく入場したのに、この“ピンクのスパイラル文花生”に大変魅了
された。長く陶磁器をみているが、形はともかく、こんなピンク色をした陶器はみた
ことがない。薄いピンク、茶のスパイラル文が実に美しい。この装飾性を抑えたシンプル
なフォルムと柔らかい色で表現されたモダンな作風がルーシー・リーの一番の魅力
ではなかろうか。

ウィーン分離派、ウィーン工房の影響を受け、シンプルな器を作っていたルーシー・リー
は1939年、イギリスに亡命し、バーナード・リーチに出会う。リーチは簡素で薄い
ルーシーの器はあまり気に入らなかったようであるが、自分の陶芸の知識や経験など
で彼女を最大限支援している。ルーシーはその頃、リーチ風のどっしりした分厚い
作品をつくっていたが、どうもしっくりいかなかったので、ドイツから亡命してきたハンス・
コパーの助言もあり、また薄く、高い高台の作品に戻っていく。

以後、ハンス・コパーと共同制作し、リーチの次の世代、モダニストを代表する作家と
して数々の作品を創作した。ハンス・コパーの面白い形をした作品が東近美に2点展示
してある。“キクラデス/スペード・フォーム”。03年と今年と2回、ルーシー・リー展を
開催したニュー・オータニは、次回、要望の多いハンス・コパーの展示を検討していると
のこと。“キクラデス・フォーム”だけでもこの陶芸家の大きさが窺がわれる。企画展を
期待して待ちたい。

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