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2005.12.09

洛中洛外図屏風(舟木本)

238東博の平常展に12/6から“洛中洛外図・舟木本”(重文)が登場した。展示は来年の1/15まで。

洛中洛外図の舟木本に関するいい本が出ている。奥平俊六著“洛中洛外図・舟木本”(アートセレクション、小学館、01年4月)。この本を既に手に入れ、京の名所や人々の日常の仕事や遊興ぶりが描かれた場面の拡大写真と解説文を楽しんでいたが、本物の屏風を見る機会が無く、公開の時を待っていた。

11月初旬に見た狩野永徳作の国宝上杉本(拙ブログ11/9)の記憶がまだ残って
るうちに、続けて舟木本(重文)を観れたのは大変ラッキー。上杉本同様、隅から隅ま
で徹底的に鑑賞しようと、単眼鏡と解説本を携えて出かけた。

上杉本が制作されたのが1560年代のはじめ。この舟木本はその50年くらい後の
1610年代の半ばに描かれたと言われている。六曲一双で、大きさは上杉本とほぼ
同じくらい。画質は上杉本と較べるとだいぶ暗い。上杉本が超良すぎるのかもしれ
ないが、予想と違い勝手が狂った。解説本にある写真はかなりライトアップして撮影
したものであろう。こんなにはっきりは見えない。早速、単眼鏡が役に立った。

舟木本の見所は生き生きとした人物表現。それもそのはず、この屏風は岩佐又兵衛
工房の制作。千葉市美術館やMOAであった岩佐又兵衛展(拙ブログ3/20)でみたようなリアルな顔の表現やでダイナミックな体の動きが随所に出てくる。そしてド派手な
装束や演出を描かせたらもう奇想の絵師、岩佐又兵衛の独壇場。

その極め付けが右の“寺町通 祇園祭礼”。群集であふれるなか、巨大な母衣(ほろ)
の飾りをつけた武者が3人行進している。母衣は本来は戦場で流れ矢を防ぐための
ものだが、祭りでは人々があっと驚くほど大きて派手。単眼鏡でみると、縦にいくつも
縫い合わされた赤や緑、橙色の地が鮮やかで、綺麗な文様が緻密に描かれている。
これは凄い。昨年、岩佐又兵衛が描く絵巻で一番感動した武者や女官の装束も
こんな感じだった。

この洛中洛外図では店先や遊里の一角など至るところで男が女に抱きついたり、
恋を仕掛けようとする場面がでてくる。風俗画はこうでなくっちゃあと思わず口元がほ
ころぶ。昔から生臭坊主はいる。東寺の境内で僧侶が熱心に読経しているが、その
傍らで坊主が女を後ろから抱きすくめる。扇屋には美人が多かったらしく、両替屋
の店先から男が女に声をかけている。参詣人で賑わう大仏門前はナンパのメッカで、
女を誘おうとして男二人がひそひそ話中。。。

エネルギッシュな祭り、僧と武士の喧嘩など騒がしい場面があり、通りの真ん中で
いい女をみつけようと躍起になっている若い男がでてきたり、農民が田畑で働くところ
や職人の技を描いたのもある。舟木本が観る物を惹きつけるのはリアルで人間臭
い描写がふんだんにでてくるからだろう。十二分に堪能した。

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