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2005.12.04

川村記念美術館の尾形光琳

233先頃、“ゲルハルト・リヒター展”を鑑賞するため訪れた川村記念美術館で嬉しい展示があった。平常展に尾形光琳の屏風絵が飾ってあったのである。

ここには光琳の絵と長谷川等伯の代表作の一つ“烏鷺(うろ)図)”(重文)があることは前々から知っていたが、いつもは展示してないだろうと期待してなかった。が、その一つを幸運にも見ることができた。

ミュージアムショップで買った館の図録をみると、加山又造作の“円舞”という鶴
を描いたすごく魅力的な屏風絵も載っていた。どのくらいの数の日本画を所蔵して
るのかわからないが、平常展でひとつの部屋をこれらの展示にあてているの
だから、質のいい日本画がいくつもあるような気がする。図録にはなかったが、
鏑木清方のグッとくる美人画が光琳や橋本関雪の絵とともに並んでいた。ステラ
などの現代絵画だけでなく、日本画も求めて、平常展のためだけでもこの美術館
を訪問する価値があると思えてきた。

光琳の右の“柳に水鳥”は二曲一双の右隻部分。こじんまりとした屏風絵で、
右隻に春の頃の柳と鴛鴦、左隻に雪が枝に積もった柳と数羽の鴨が描かれている。
右と左で季節と水鳥の種類は違っているが、真ん中を横に流れる濃い群青色の
水流は連続している。たらし込みの技法が使われてる柳については、葉が落ち、
幹の表面や枝のところに雪が積もってる左隻と右隻の造形はあまり変らない。

だから、ぱっとみると、時間の推移が頭から消え、河には鴛鴦と鴨が一緒に泳い
でおり、2本の柳が適度な間隔で配置されてる絵と、早合点してしまう。そうでは
なくて、屏風のなかに春と冬の時間軸を入れているのである。“伴大納言絵巻”の
子供の喧嘩の場面に見られる“異時同図”の手法を使い、屏風を絵巻のように
見せている。酒井抱一が描いた、“四季花鳥図屏風”に似たような四季の表現が
でてくるが、季節ごとの場面は異なる。

この絵の水流は“紅白梅図”に描かれてるような文様化された光琳波ではない。
河の波を金泥で表し、丁寧に描かれた鴛鴦を遊ばせ、大和絵調の雅な雰囲気を醸
し出している。光琳ならではの装飾的な花鳥画である。“燕子花図”の単純明快
で意匠的な美しさとは別種の装飾美を楽しめる貴重な絵に巡り会え、大変
満足した。

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コメント

日曜日にいかれました?
私も実はこの日川村に行ってました。。。

投稿: Tak | 2005.12.05 23:05

to Takさん
リヒター展をみたのは先月の23日です。平常展の洋画、日本画にびっ
くりしました。ブランクーシの代表作があったり、尾形光琳まで見れて
大満足でした。
ここのコレクションを見終わるまで、クルマで暫くは通うつもりです。
自宅からは湾岸高速を利用すると1時間半くらいで着きます。
楽しみが増えました。

投稿: いづつや | 2005.12.06 13:24

私も川村美術館に5回位行きました。和菓子と抹茶も頂きました。当時その階にあった(今も?)尾形光琳の、ご紹介の絵を見て感銘しました。一つは、樹木の肌の質感(たらし込み技法)の厚み。もう一つは、左隻の飛んでいる大き目に描かれた鴨(水鳥特有の抱き心地の)の気味悪さを感じさせるまでの現実観です。

投稿: 猫野 給仕 | 2020.03.01 21:29

to 猫野 給仕さん
川村記念美で光琳の絵が見れるとは思って
もいませんでした。今、この‘柳に水鳥’は
展示されているのでしょうか。

最近ここへは行ってませんのでよくわから
ないのですが、数年前、日本美術関連の
コレクションを売却したという情報があり
ました。ひょっとすると光琳も美術館を離
れているかもしれません。

投稿: いづつや | 2020.03.03 23:25

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川村記念美術館で開催中の 「開館15周年記念特別展 ゲルハルト・リヒター―絵画の彼方へ―展」に 行って来ました。 静かな、そして穏やかな興奮に包まれる展覧会です。 もしかして、今開催されている展覧会の中で 最も観ておかなくてはならないものかもしれません。 ゲルハルト・リヒターは1932年生まれ。 現役で作品を創作し続けている「現役」の画家さんです。 「現代美術はちょっと・・・」という方にもお勧めです。 (逆にお嫌いな方こそ是非) なぜならリヒターの「作... [続きを読む]

受信: 2005.12.06 22:32

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