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2005.12.08

池口史子展

237時々、展覧会が自分を呼んでいるような気がするときがある。そういう時はいい作品が出てることが多い。

すべり込みセーフで鑑賞してきた池口史子(いけぐちちかこ)の回顧展(損保ジャパン東郷青児美術館、12/11まで)で大きな感動を味わった。

展覧会に導いてくれたのがチラシに載ってる右の“ワイン色のセーター”に描かれてる女性。この美術館の大賞を受賞した
作品らしい。画家は全く知らない。チラシを最初に見たとき、日本人画家が描いた
とは思えなかった。まず、頭に浮かんだのがホッパーの絵。ホッパーの作品を
観た経験は少ないが、手元の画集にある女性を描いた室内画と雰囲気が似ている。

それにしてもこの絵はなかなか魅力的。半開きにした窓辺に立ちこちらを向いてる
金髪の女性は、物静かな女性のように見えるが、何か訴えてるようでもある。
顔の右側から光が射し込み、顔半分とワインカラーのセーターの前の部分が明るく
輝いている。画面では黄色が多く使われ、淡い色調なので、セーターのワインカラー
が目に焼きつく。My女性画の一枚に加えたい名画である。

池口史子は1943年の生まれで、今年62歳。初期の頃の作品から飾られているが、
00年以降に制作された作品がリファインされ、絵としての完成度が増してる。それ
以前に描かれたアメリカの町の風景画では、建物や貨物列車などの対象物は大抵、
右か左に少し曲がっている。不安定感のある対象物で都市のもつ孤独感や冷ややか
さを画家は表現したかったのかもしれないが、最近描かれた絵では建物はちゃんと
立ち、色彩もカラフルで明るい。寂寥感の漂う現代都市やどこか寂しそうな気分を感じ
させる女性をしっかり捉えた絵は、ホッパー風だが、明るさ、暖かさの分量が多くなっ
てきた感じがする。

“ワイン色のセーター”のほかにも女性を描いたいい室内画がいくつもあり、大きな満足
が得られた。これからこの画家の作品に注目していきたい。後で知ったのだが、池口
史子は作家堺屋太一の奥さん。これはトリビアの泉だった。

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コメント

この展覧会御覧になったんですか。
あさってまでですね、行くかどうしようか迷ってますが、堺屋太一の奥さんときいて興味出てきました!
あさってまでというと明治大学博物館「江戸時代の大名」の招待券もあるし、エトルリアの世界展も行きたいしーって気づいたらみなヨミウリ主催なんですね。

投稿: oki | 2005.12.09 23:19

to okiさん
最初の展示室に00年以降の作品が飾ってあるのですけど、いいのが揃ってます。
この画家は60歳近くになって才能が開花したように思います。“ワイン色
のセーター”は日本人が描いたとはいまだに信じられない画風です。
大変気に入りました。

図録に評者は世界の池口になることを期待するようなことを書いてましたが、
作品をみてそんな気がしてます。お楽しみ下さい。

投稿: いづつや | 2005.12.10 00:23

こんばんは。私も観てきました。
池口さんの作品にすっかり圧倒され、そして、しっかりファンになりました。
TBさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

投稿: snow_drop | 2005.12.13 22:01

to snow dropさん
はじめまして。書き込み、TB有難うございます。日本人洋画家の作品
をあまり見ませんので、池口史子さんは全く知らなかったのですが、
チラシに載ってる“ワイン色のセーター”が気になってしょうがなかったもの
ですから、意を決して出かけました。

観てて本当に良かったです。My女性画に早速登録しました。女性を描い
た作品がどれもいいですね。ホッパーの画風に似た風景画や室内画は
これから欧米で人気がでるのではないでしょうか。世界の池口としていい
絵をどんどん描いて欲しいですね。これからもよろしくお願いします。お気軽に
起こし下さい。

投稿: いづつや | 2005.12.13 23:37

いづつやさん
毎日寒い日が続いていますが、お元気ですか?いづつやさんがオススメしてくださった「山本丘人展」ですが、とても行きたかったのですが、用事がつまっていまして・・・。新宿で数時間の空き時間があったので、いづつやさんのもう一つのオススメの「池口史子展」に行かせていただきました。以前、「ワイン色のセーター」のチラシを見て、何て素敵な作品なんだとうと思っていましたが、いづつやさんのブログを読まさせていただき、この目でぜひ、観たいと思いました。
思っていた通り、思っていた以上に素敵な絵でした。その横の「赤いエントランス」はホッパーと雰囲気が似ていました。1階のビデオも見ましたが、池口氏が「アメリカはヨーロッパの真似をしようとしているが、しきれていない。そんなところがいい」というような表現をしていましたが、成る程と思いました。
そして、作品だけでなく、池口氏自身が会場にいらして、鑑賞者に対する視線がとてもやさしく、感激してしまいました。「静かなる叫び」とサブタイトルにあるように、清楚な中に、実は強い信念の持った方のように見えました。これから、注目していきたい画家の1人です。この特別展に行けて、本当によかったです。いづつやさん、本当にありがとうございました。

投稿: Yuko | 2005.12.18 21:30

to Yukoさん
山本丘人展は残念でしたね。この画家の絵はYukoさんの好みに合うの
ではと直感してますので、またどこかで観て下さい。

池口史子さんの絵ははじめて観ましたが、感動しました。中でも女性
を描いた室内画がすばらしいですね。Yukoさんのお気に入りの画家、
ポッパーの画風に似ています。いまだに“ワイン色のセーター”を日本人
画家が描いたのが信じられないのです。“赤いエントランス”も味があり
ますね。

この画家は世界の池口になるかもしれませんね。これから注目しましょう。

投稿: いづつや | 2005.12.18 23:40

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