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2005.12.13

横浜トリエンナーレの奈良美智

242横浜トリエンナーレ(12/18まで)はチラシに出ている紅白ストライプの三角旗が上手いインスタレーションだなと感心はするものの、作品を出品しているアーティストを全然知らないので、なかなか山下埠頭へ足が向かわなかった。

が、唯一作品をイメージできる奈良美智の絵が見れればと期待して入場した。3号上屋に入ってすぐ、面白い作品に出会った。粉ミルクの缶でつくられた一頭の牛がいる。その後ろにおかれている
5,6体の赤ちゃん人形は首しかない。ふつうなら、首だけの人形にギョッとするのだが、不思議なことに不気味な感じがしない。

真ん中あたりに展示してあった中国人アーティストの作品、つくりものの獅子の
毛は黄色ではなく、軍人が着る迷彩服の色。そして、獅子の背景に設置してある
板の壁一面は黒、濃い緑で描かれた模様でびっちり埋まっている。現代絵画の
場合、一つの色鮮やかな文様とかフォルムを作り、それを縦とか横に直線的あるい
は曲線的に繰り返し、画面を構成し、作家の思い描くテーマを表現することが
多い。具象作品ではなく、抽象絵画なので、フォルムの繰り返しがリズミカルで
あるとか、その数に圧倒されるとか、色彩のバランスがいいとかでないと美しさは
感じない。その点、この迷彩色を使った作品は何か心に響くものがあった。

お目当ての奈良美智のコーナーは3号上屋の一番先にあった。奈良美智のミニ
アトリエが再現されている。ここであの目の釣りあがった頭の大きな女の子が生ま
れた。可愛いが大人並みのふてぶてしさを持った女の子をはじめてみたとき、
すごく惹くつけられ、すぐさま奈良美智のファンになった。でも、作品をみた経験は
TVの番組と横浜美術館の平常展しかない。森美術館の開館記念展でも奈良の
作品はでていたが、アフガンの子供を撮った写真だった。

今回は油彩3点と使用済みの封筒やノートに描かれたドローイング20点あまりが
展示してある。その中で、はっとしたのが右の絵。小高い山の斜面が女の子の顔
になっている。いつもの釣りあがった目でなく、丸く可愛い目で前に浮かぶ白い雲を
眺めている。頭のてっぺんには小さな山小屋がみえる。奈良美智の描く女の子
はみんな目を釣り上げ、怒っているかと思っていたが、こんなあどけない顔をした子が
いた。もうひとつ驚いたのは、この絵がダリやマグリッドらシュルレアリストがよく使う
ダブルイメージになっていること。山と女の子の顔が重なっている。

ここで予想だにしなかったシュールな絵に会えたのは大収穫。奈良美智の作品を
もっと観たくなった。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。

奈良さんの作品は、展示も優れていて、
一際存在感がありましたよね。
個人的にはなかなか好きになれなかった方だったのですが、
この展示を見て、
やはり力のある方なんだなあと思い知らされました。

>シュルレアリストがよく使うダブルイメージ

これは面白いですね!
まだまだ奥が深そうですね!

投稿: はろるど | 2005.12.13 23:04

to はろるどさん
展覧会は知ってる作家がいないと、のめり込めませんが、一人でもいると
違います。好きなアーティスト、奈良美智の作品がいくつかも見れましたので
大満足です。個展をみることがなかなか無いものですから、展示作品がでてい
る6000円の画集を購入しました(サイン入り)。

奈良美智がこんなシュールな絵を描いてたとは夢にも思いませんでした。
おなじ調子の絵がもう1点ありましたね。こっちの方は排気ガスを出す
クルマを可愛く怒ってました。“何よ、空気を汚しちゃって!”とぶつぶつ
言ってましたね。奈良美智を追っかけます。

投稿: いづつや | 2005.12.13 23:59

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