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2005.12.20

東郷青児と広告デザイン展

249日本人が描く洋画にはあまり関心がないので、これまで洋画家の展覧会に足を運んだのは限られている。

東近美の平常展に展示されてる作品はだいたい観ているので、明治以降の画家の代表作は知っているが、一人々の画業には詳しくない。

そのなかで、東郷青児という画家だけはなぜか、青木、岸田、梅原、安井、須田、香月と同じくらい親近感がある。それは、
あのマネキンの質感をもった少女マンガの原点みたいな画風が右脳に強く刷り
込まれているからかもしれない。だが、東郷青児の絵をまとまった形でみたのは今、
損保ジャパン美術館で開催中の“東郷青児と広告デザイン展”(12/17~06/
1/14)がはじめて。

画家のモノグラフは代表作を7割鑑賞しないと、読まないことにしているので、会場
に入るまで東郷青児の画歴についての情報は皆無。イタリアの未来派に刺激されて
描いた“コントラバスを弾く”という作品を昨年4月、東京芸大美であった“再考 
近代日本の絵画展”でみたが、これは東郷青児、18歳のときの作品。20歳を前
にして、誰よりも早くヨーロッパにおける新しい絵画の潮流に反応するのだから、
並みの才能ではない。会場にはキュビズム的な絵が2,3点あった。

洋画家の場合、画家として世間に認めてもらうのは大変。何をやってもピカソの真似
とか、ダリのシュルレアリスムのコピーとか言われる。東郷はこの○○風の路線
から離れて、画家としてはちょっと軽く見られそうな独自のマネキン風女性画を描い
たのが大当たり。こういうデザイン的な画風の絵はポスターやカレンダー、店の包装
紙など注文は沢山ある。もともと色彩感覚やデザインセンスは飛びぬけているので、
一気に東郷青児のアイデンティティーが確立された。

こうなると、作品に勢いがつき、おびただしいほどの女性画が生まれてくる。モダン
で気高い女性であったり、少女マンガの主人公のようであったり、静かで近づき難い
ほど清楚であったり。。。右の“四重奏”は特に魅せられた絵。女性の体の線はマニ
エリスムのS字状を連想させる。東郷は女性の足の指を描かないことが多いが、
ここでは指があり、ほかの絵に較べると少しだけ写実的。My女性画に入れたいもう
1点は頭にスカーフをつけた女性の横顔が魅力的な“望郷”。心をふわふわさせて
くれる展覧会であった。

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