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2005.12.15

若き速水御舟と今村紫紅

244ここ一ヶ月くらいの間で、速水御舟のいい絵2点にめぐり会った。MOAにあった“渓流”(12/24まで)と最近まで東博の1階に展示してあった“紙すき場”。

ともに画集に入ってる御舟の代表作であるが、Myカラーの緑と黄色が多く使われてることもあり、感激もひとしおであった。右の“紙すき場”(部分)は縦長の掛け軸(233cm×55cm)で、御舟、20歳のときの作品。新南画と呼ばれている。

畑に生えてる草花の緑や土の黄色と作業場の外に立てかけられた紙の白が
見事に溶け合い、見たままの田舎の風景をいかにも南画風らしく、新鮮な感性で
のびやかに描いている。31歳のころ、魂の入った細密な描写力で炎のなかを
飛び交う蛾を幻想的に描いた“炎舞”とは違い、画壇にデビューしたときの御舟は目
の前の自然を柔らかい線と細かい点を重ねて描く色彩画家であった。

このころ御舟の絵に大きな影響を与えたのが13歳年上の今村紫紅。東博には
紫紅の代表作中の代表作がある。“近江八景”と“熱国之巻”(ともに重文)。過去、
ここで2,3回みたことがあるが、見るたびに感動する。今年は2点ともでてきた。近代
日本画を代表する名画なので、これを鑑賞して同じような思いをした人がいるはず。

制作された時期は“近江八景”が1912年、“熱国之巻”が1914年。御舟の
“紙すき場”は“熱国之巻”と同じ年に描かれた。今村紫紅がインド旅行の成果
を絵巻にして描いた“熱国之巻”に見られる緑や黄色の温かい感じや点描風のリズ
ミカルな形の構成が“紙すき場”とよく似ている。

紫紅と御舟は他の仲間と共に新しい日本画をめざす絵画グループを結成し、2年間、
一緒に制作活動をするが、紫紅が35歳の若さで急死したため、御舟は独自の道
を進むことになる。12年ぶりにみた“紙すき場”で御舟の豊かな色彩感覚に感服する
と同時に、今村紫紅の画業の高さを再認識した。

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コメント

↑の絵の色使いはとても気持ちよく美しいなあと思いました。

最近ブログを拝見していると、皆さん者すぐく精力的に展覧会を次々消化されている事に目を見張っています!

投稿: seedsbook | 2005.12.16 16:05

to seedsbookさん
速水御舟はこの絵の4年後、京都で深みのある青が目を惹く“洛北
修学院村”という傑作を描くのですが、この頃の御舟は日本画壇に颯爽
と登場したピュアなカラリストです。はつらつとした色使いに魅了されます。

ビッグな企画展の合間をぬって東博や東近美の平常展にせっせと
通ってます。下手な展覧会を観るよりこっちのほうが何倍も楽しいです。

投稿: いづつや | 2005.12.16 18:17

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