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2005.11.18

円山応挙の雲龍図

218三井記念館の名宝展では展示替えがあったので早速出かけた。後期の展示は11/17~12/25。

陶磁器類は後期も同じ作品がでているが、絵画は別の作品を並べている。そして、前期、漆工芸品があったところには中国の碑文などが飾られ、最後のコーナーは能面から刀剣類に変っている。絵画のお目当ては“日月松鶴図屏風”(重文)、円山応挙の“雲龍図”、中国の絵師、梁楷(りょうかい)が描いた
“六祖破経図”。

“日月(じつげつ)松鶴図屏風”は室町時代に制作された屏風であるが、この頃、
吉祥的な鶴と松の背景に太陽と月を描くのが流行った。面白いのは太陽と月に
金属板を使っていること。このため、横から見ると屏風の表面がぽこっと膨らんで
いる。図録からは金箔の地に松や岩の緑青と河の水の群青がもっと鮮やかに
でているのをイメージしてたが、それほど深い色ではなかった。鶴の配置が凝って
いて、左隻ではわざわざ松の太い幹の後ろにいて体の大半が見えない鶴もいる。
鶴の首周りや羽の白が薄くなっているが、制作されたときは美しい姿だったの
ではなかろうか。

円山応挙作、右の“雲龍図”はよく観る龍とは一味も二味も違っている。この龍は
ぱっと見てすぐ龍の形が頭に入らない。顔はまあ分かるが、胴体、あの手や足の長
い爪はどこへ消えたのという感じである。これまで龍の絵はいくつも見たが、これ
ほど分かりにくい龍は見たことない。また、技法も革新的で、右にある雲は墨の
滲みで表し、波濤の白は塗り残しによるもの。応挙は伝統的な雲龍図から離れ、
技巧を凝らし、現代感覚でいえばシュールなタッチで海中から雲間を抜けて天へ
と昇る龍を描いている。2年前、大阪であった円山応挙の大回顧展ではこの雲龍図
が展示替えで観れなかったので、ここでリカバリーできたのは嬉しい限り。

これで、代表的な雲龍図でまだ観てないのはワシントン、フリーアギャラリーにある
俵屋宗達の“雲龍図屏風”くらいになった。ボストン美術館にある日本画は日本に
やってきたが、まだここの名品は見る機会がない。東博あたりが、なんとか働きかけ
て展覧会を開いてくれないかといつも思っているのだが。因みに、本日の世界美術
館紀行でこの美術館の日本画コレクションが紹介される。

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コメント

いづつやさん、はじめまして。いぬまゆと申します。

三井記念美術館のホームページを見ても円山応挙の「雲龍図」が展示されているとは読み取れないのですが、今は「雲龍図」が展示されているのですか?
展示されているなら見に行きたいと思ったのですが…。

投稿: いぬまゆ | 2005.11.18 22:25

to いぬまゆさん
はじめまして。書き込み有難うございます。応挙の“雲龍図”は
後期(11/17~12/25)の展示品として出ています。応挙の
雲龍図のなかでは異色ですね。よくみる雲龍図で感動するのは
迫力ある龍の姿なんですが、この絵は屏風ではないことと違った
描き方をしているので、力強さより、幻想的なものを感じます。

“鯉の滝のぼり”でこの絵師にシュールな匂いを感じたものですから、
このデフォルメされたような龍の姿に見入ってしまいました。観てのお
楽しみです。また、ご感想をお聞かせ下さい。

投稿: いづつや | 2005.11.18 22:52

いづつやさん、回答ありがとうございました。

早速今日「雲龍図」を見てきました。確かに「雲龍図屏風」と比べると色も墨のみで、派手さは無いけど風で渦巻く雲のイメージを強く感じました。「雲龍図屏風」は本でしか見たことがないので、機会があれば是非実物を見てみたいと思います。

投稿: いぬまゆ | 2005.11.19 23:12

to いぬまゆさん
雲龍図を掛け軸に描くのは難しいでしょうね。広さを出すため、左の龍
をトリミングして体の一部を見せてるのでしょうね。それがシュールな形
にみえるのかもしれません。その龍の変形した姿と右の雲や波濤の組み
合わせに幻夢的な雰囲気を感じます。次回は屏風に描かれた雲龍図
をお楽しみ下さい。

投稿: いづつや | 2005.11.20 19:54

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