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2005.11.16

伊藤若冲の鸚鵡図

970現在、東博で開かれている北斎展には、海外からはメトロポリタン、ボストン、ギメ、ホノルル美など浮世絵コレクションで有名な美術館から自慢の北斎が出品されている。

国内でも浮世絵に馴染んだ人ならよく知ってる美術館の所蔵が沢山あり、その中に千葉市美術館も入っている。ここの“千絵の海、総州利根川”、“総州銚子”はダイナミックな構図が目を惹く名品で、こうした大回顧展には必ず出てくる。
前回、千葉美を訪問したとき、歌麿のいい絵に接し、ここの浮世絵の質の高さを
この目で確かめたが、北斎展でそれを再認識した。

最近、この美術館は浮世絵だけでなく、近世日本画の名作も沢山持っている
ことを発見した。大ミラノ展と同時開催の“江戸絵画のたのしみ展”(10/25~
12/4)に足を踏み込んでみると、そのことがよくわかる。ミラノ展が目的だ
ったので、この館所蔵展はNO情報。こちらの会場を出たときの満足度はミラノ展
より上だった。別にダヴィンチの素描が目玉のミラノ展が面白く無かったという
のではない。一粒で二度美味しい有難い展覧会だったが、脇役が主役を食っ
ちゃった感じなのである。

今回は開館10周年を記念しての企画展とはいえ、よく通う、東博の平常展を上
回る内容に驚かされた。展示の仕方がユニークで、53点を六つの切り口でくくって
いる。掛け軸など日本画の形、水墨画の技、寄託された絵、小さな情景をモテ
ィーフにした作品、月がでてくる絵、動物画。これらの絵は並みの絵師によって描
かれたのではなく、ビッグネームが揃っている。俵屋宗達、狩野山雪、狩野常信、
円山応挙、長澤芦雪、伊藤若冲、谷文晁、池大雅、岩佐又兵衛、浦上玉堂、田能
村竹田、英一蝶、渡辺崋山、葛飾北斎。。大作あり、小品ありで見ごたえがある。

中でも一番嬉しかったのが伊藤若冲の絵を3点も観れたこと。ここに若冲があるの
を全然知らなかった。墨の滲みを活かした筋目描という若冲独自の手法がみられる
“寿老人・孔雀・菊図”、大作“月夜白梅図”、綺麗な色彩の右の“鸚鵡図”。若冲
の絵の魅力、緻密な描写と色彩の輝きを楽しめるのが“鸚鵡図”。鸚鵡の白い羽は
レースのように美しく、鸚鵡の止まっているTの字の台は赤、緑、群青で装飾的
に彩色されている。徽宗が描いた品のいい“五色鸚鵡図”に対し、伊藤若冲の“鸚鵡
図”は現代的で、サイケ調。拙ブログの若冲(04/11/29)、(3/7

大きな絵の“月夜白梅図”は来年1月、東京都美術館で開催予定の“バークコレク
ション展”のチラシにでていた作品と似ている。この絵に会えるのを楽しみにして
いたのだが、なんだかここで先取りして見てしまった感じである。嬉しい誤算。これ
だけの作品を見せつけられると、ますます千葉美のファンになってしまう。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。
私も千葉美の展示内容に驚きました。若冲が意外なほど数あり喜んでしまいました。「鸚鵡図」の装飾的色彩感も独特で、大陸的な感じがしますね。いづつやさんと同じで、実は「ミラノ展」よりこちらの満足度の方が上回ったような気がします(^^;;

私的には月光を扱った3題が面白く、特に丸山応挙「秋月雪峡図屏風」の秋月図一双が、日本的でも中国的でもなく、まるで西洋風景画のような趣があったのが印象的でした。散見する樹木が針葉樹ではなく広葉樹系であり、遠くに低く見える月の位置から全景の岩や樹木へと空気遠近法的に濃淡の煙る薄靄で描く技法が実に新鮮です。屏風の折れる部分の立体感も上手く利用しており、応挙がますます面白く感じられました。

投稿: June | 2005.11.17 01:41

to Juneさん
ミラノ展は10/29に見たのですが、この江戸絵画のたのしみはあまり
名前の知らない絵師の作品かなと思ってました。が、次々に出てくる
名作に頭がくらくらするほどでした。こういうときは本当に嬉しいですね。

月が出てくる大作3点は圧巻でしたね。贅沢すぎる展示です。若冲は一見、
ごちゃごちゃしてて鬱陶しいようにみえますが、そうは見えず美しいですね。
円山応挙の“秋月雪峡図屏風”は実は私も見入ってしまいました。
河が下の方から上のほうに上がっていくように描かれてたのと、月が下に
あるのにはっとさせられました。ご指摘のように日本画ではあまり
観ない構図です。Juneさんは鋭い見方をされてますね。

投稿: いづつや | 2005.11.17 18:17

私も、ミラノ展のついでに見たのですが、その充実した内容に驚きました。レポ↓
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/JA05.htm#051028

投稿: とら | 2005.11.18 09:44

to とらさん
“江戸絵画のたのしみ”はミラノ展を見に行った10/29、当日、会場で
知りました。若冲や応挙がでてるなんて想像だにしてませんでした。
ものすごく得した気分です。それにしても千葉市美術館は浮世絵、
近世日本画の名品を所蔵してますね。昨年の岩佐又兵衛展以来、注目し
ている美術館なのですが、これから長い付き合いになりそうです。

投稿: いづつや | 2005.11.18 19:47

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