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2005.11.19

尾形乾山の色絵龍田川図向付

432名古屋の徳川美術館に入る前、大阪まで足を伸ばし、池田市にある逸翁美術館で開催中の“雅美と超俗展”をのぞいてきた。

ここははじめて訪れる美術館。阪急グループを創設した企業家、小林一三氏(1873~1957)が集めた陶磁器、書画、絵画などの美術工芸品を一般に公開している。逸翁は小林翁の雅号。

こじんまりした展示室に、今回は所蔵品の中では質の高いことで有名な琳派の
絵画、陶磁器と与謝蕪村や文人画派の作品を41点を飾っている。お目当て
は琳派の作品と、初公開するという蕪村の幻の名画。期待をもって館内を回った。
入っていきなり、俵屋宗達の“飛鴨図”に出会った。墨の濃淡で左上から右下
に向かって飛ぶ一羽の鴨を描いている。顔はかなり濃い墨であるが、首や羽に
は得意のたらし込みが使われている。躍動感のある鴨の姿が印象深い。
この画題は尾形光琳、小林古径、山口蓬春(拙ブロブ3/1)らにも受け継がれて、
名品が生み出されている。小林古径の作品は先般、東近美であった大回顧展に
出品された。

本阿弥光悦の黒楽茶碗も気に入ったが、もっと興味深かったのが尾形光琳が
作陶した白楽茶碗。光琳は弟の乾山が横で陶器をつくってるのを見て、遊び
でこの茶碗をつくったのかもしれない。色はグレーで形もなかなかいい。光琳に
陶器の作品があるなんて夢にも思わなかった。尾形乾山の名品が一点でている。
それは右の“色絵龍田川図向付”。過去、この組み物を数点見たが、この向付
が一番いい。現在、東博で開かれてる“伊万里と京焼展”にMIHOMUSEUM所蔵
の同名の作品が出ているが、これより魅力的。

色が明るい。紅葉の赤、緑、黄色、波濤の白がよく発色している。そして、これぞ
琳派と思わせる斬新な意匠が心を打つ。皿の形を意匠に合わせてつくる手法は17
世紀中期の肥前の初期色絵にあったが、乾山はそれを進化させ、装飾的でモダンな
皿に仕上げている。葉の輪郭に引かれた金箔が輝いている。紅葉の文様は桃山時代
以降、染物、蒔絵、陶磁器などに好んで描かれた。その定番が流水に紅葉を散らし
た“龍田川”。奈良県北西部、生駒山地の東部を流れる龍田川は昔から紅葉の
名所だった。

この美術館は与謝蕪村の絵画を多く持っており、今回は5点でている。はじめて
公開するという“五老酔帰図”が面白い。大きな掛け軸の真ん中に、酒に酔った五人
の老人文士が二人の子供に腕を抱えられたり、体を支えられながら山道を進ん
でいる場面が描かれている。人物の顔や足は薄い肌色で着色されてるが、ほか
は墨一色。東博の平常展で昨年、“山野行楽図屏風”(重文)というのを見たが、
この絵とよく似ている。老人がここでは酔っ払ってではなく、疲れて子供に背中を押
してもらっている。どちらもユーモラスで親しみを感じる日常風景である。

横浜からだいぶ遠いところまで出向いたが、いい作品にめぐり会えて大変気持ちが
良かった。なお、会期は12/4まで。

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