棟方志功の弁財天妃
鎌倉・葉山は家から近いので、ここにある美術館へは平常展を観るため、頻繁に通っている。
出かけるときは、鏑木清方記念美術館、山口蓬春記念館、棟方志功板画美術館をはしごすることが多い。棟方板画美術館の秋期展示、“大世界・小宇宙”(10/1~12/18)は充実している。
03年11月、Bunkamurであった“棟方志功、生誕百年記念展”にここが所蔵
する作品が沢山出品されたが、展示替えのため見逃したのもかなりある。
そのときの図録を眺めながら、見てない絵がでてくるのを楽しみにクルマを走らせている。
館長の話によると、3年通うとだいたい見終わるという。それくらい、ここの棟方作品は多い。館の図録は分厚くなく、全部載ってないのが残念だが、記念展ので展示作品をチェックしている。
右の“弁財天妃の柵”は過去、数回観たことがある。棟方の女性像というとすぐ
思い浮かべるのがこの大首絵美人画。丸顔で大きな瞳、小さな口、色白の
顔の頬と耳たぶにつけられた丸い紅といった特徴を持っており、このふくよかな
美しさにいつも見とれてしまう。棟方の色彩感覚は特別で、赤の使い方が上手い。
背景の赤が弁財天の体の白さをより引き立てている。
小品の名画がこの“弁財天妃の柵”なら、大作の傑作が“大世界の柵”(坤ー
人類より神々へ)。棟方作品の中で最大の板画。13mある。これは倉敷国際ホ
テルの依頼により制作されたもので、生命の賛歌がテーマになっている。
裸婦や嬰児、子供が描かれいるのだが、白黒板画であることと人物の描き方が
大胆でデフォルメされてるため、最初は一体々どうなってるのかよく分からない。
10分くらい目をこらしてると、段々輪郭がみえてくる。
裸婦はちゃんと立ってるのが少なく、頭を下にし、足が上向きになってたり、
体が横向きになっている。そして、これも分かりにくくしている原因だが、手や足
が異常に大きく、あちこちに伸びたり、曲がっている。で、全体の人物の配置
が頭に入り、左端の赤ちゃんの誕生が祝福され、子供たちをやさしくいたわる
母親の場面に目が移ると、じわじわと心が揺さぶられてくる。こういう作品を絵に
力があるというのだろう。2年ぶりに観たが、前よりずっと感動した。
11/6~8の拙ブログはお休みします。
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コメント
この写真の絵良いですね~
私は棟方志功の展覧って観たことないのですが、見たい作家です
この美術館に行ってみたいですが、北関東に住む私にはちょっと不便です
彼の作品があると言うので、
横浜・馬車道の「とんかつ屋さん」には行ったことがあります(笑)
投稿: えみ丸 | 2005.11.08 10:13
to えみ丸さん
鎌倉に旅行されることがあれば、ここもお寄りになったら如何でしょうか。
2年前、全国各地を棟方志功の記念展が巡回してました。過去、
5回くらい回顧展をみましたので、棟方作品にはかなり目が慣れてき
ました。いつもその自由で伸びやかな線、鮮やかな色彩に感動します。
4年くらい前、鯉の絵をみたとき、絵というのは細部まできっちり描かなく
ても、タッチが粗々しくても対象物の本質をとらえていれば、観るひと
に感動を与えられることがよく分かりました。棟方志功の絵とは一生
付き合っていこうと思ってます。
馬車道の“勝烈庵”で食事したことありますよ。よく利用する市営
地下鉄の横浜駅構内に、棟方の絵を使ったこの店の広告ボードがあります。
投稿: いづつや | 2005.11.09 11:17