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2005.11.09

洛中洛外図屏風(上杉本)

211米沢に旅行し、念願の“洛中洛外図屏風”(上杉本、国宝)をみてきた。米沢市上杉博物館は年2回、春と秋(11/8終了)、狩野永徳作、“洛中洛外図屏風”を公開している。

この屏風はこのあと、10月に開館した九州国立博物館の記念展(11/27まで)に出品される。多分、“唐獅子図”との入れ替えになるのだと思う。

上杉博物館はもっと古風な展示空間を想像していたが、大きくてモダンな博物
館だった。“洛中洛外図”だけの観覧料は200円。これを見るために横浜
からクルマを約3時間走らせた思い入れの強い作品だけに、館内に1時間くらい
いた。一つの絵にこれほど時間をかけたのははじめて。金雲たなびく華麗な画
面を隅から隅まで、夢中でみてると時間が経つのも忘れてしまう。隣の方が
“まだ観るの?”とチェックしてくれないと次の行程に影響するところだった。

過去、洛中洛外図屏風をいくつか見たが、上杉本の素晴らしさは群を抜い
ている。六曲一双の右隻には、祇園会の山鉾を出す商業地区である下京が、
左隻には武家や公家の邸、寺社がある上京が描かれている。二つのことを考え
てこの屏風を鑑賞した。まず、狩野永徳の絵師としての腕は如何程なのか、
色彩、構図、筆致は冴えてるか、もう一つはこれが一番の楽しみであるが、
京の都における四季の風物、行事、人々の仕事ぶりや娯楽などがどう描き込
まれているか、

洛中洛外図は他と同様、金箔の雲、街路が画面全体にあふれる装飾画
である。装飾の目的は観てる人の目を楽しませることだが、永徳はこれを見事
に成し遂げている。眩い金が画面一杯にあふれるなか、鴨川の水を表す深い
群青、鳥居の赤、御所の庭の白にも目を奪われる。京の全貌を金箔でパノラマ
的に描くこの屏風はガラスケースから少し離れてみると、装飾品そのもので、
豪華な着物の文様のようにもみえてくる。

狩野永徳の画技の高さはこれだけではない。金雲の間に出てくる人々の日常の
営み、エネルギッシュな祭りなどの場面や町屋、邸宅、寺社、農村の風景が
細かくリアルに描かれている。この屏風の最大の魅力は描写の細かさ、情報量の
多さかもしれない。右は右隻に描かれている祇園会のクライマックス、山鉾巡行
の場面。派手に飾り立てた山鉾がアドレナリン全開の町衆たちに引かれてい
る。祭りの熱気が伝わってくるようである。京に住む人たちばかりでなく、周辺か
らも花の都のイベントを見るため、多くのひとが集まったのであろう。

祭りのほかに、赤いちゃんちゃんこを着た猿が芸をするところとか、師走、琵琶
法師が犬に追っかけられる場面、相撲をとったり、弁慶石を持ち上げて力比べをす
る男たち、公衆浴場で湯女が入浴の世話をしているところなど興味深い場面が
沢山でてくる。時間が許せば2時間でも、3時間でも見ていたい気分だった。
満足度200% 

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