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2005.11.29

山本丘人展

228先の佐伯祐三展で大ヒットを飛ばした練馬区立美術館が絶好調。現在開催中の“山本丘人展”(11/1~12/11)も充実している。

22日、数点の展示替えがあったので、また出かけた。今回は箱根にある成川美術館の山本丘人コレクション50点と丘人の影響を受けた画家の作品50点が展示されている。山本丘人の絵は東近美や山種美でちょくちょく見ていたが、画業全体を見る機会がなかったので、期待していた。

丘人の絵ですぐイメージするのは、大作“雲のある山河”(169cm×372cm)にみ
られるような、山の姿を太い輪郭線でとり、細部にとらわれず、画面を山や川で
バンバンと構成してゆく健剛で男性的な画風。海や山を金泥や銀泥で彩色してい
るが、琳派の絵のように装飾的には映らない。深みを出すために金や銀を焼いて使っ
ているらしい。骨太な風景画であるが、人間の寂しさや孤独感を感じさせる絵が
この画家の特徴と思っていたら、最後の部屋にびっくりするほど優雅な絵があった。

それは右の“地上風韻”。成川美術館、自慢の一品。館のパンフレットにも使われ
てるが、その気持ちはよくわかる。藤棚一杯に薄紫の藤の花が垂れ下がり、その下
で背中をこちらに向け、髪の長い女性が椅子に座っている。そして、彼女のまわりを
コスモスなど春の花が取り囲む。藤の薄紫、女性の着ている衣服の白、コスモスの
黄色がこれ以上無い優雅な雰囲気を醸し出している。源氏物語絵巻で味わった雅で、
静かで、品のある世界がここにもあった。

このコーナーに飾られてる近藤弘明の大作“春夜寂桜”も素晴らしい作品。春の頃、
この絵をみると心がとろけそう。山本丘人から教えをうけた画家の絵にもいいのが
ある。その筆頭が稗田一穂。“月光”や“幻象飛瀧飛龍”は近代日本画のなかの代表
作に加えていいほどの名画。また、堀越保二が描いた“少年の遠景”に魅せられた。

香月泰男の絵の感じとシュールな感覚が交じり合う不思議な美しさをもった絵で
ある。海を眺める少年の後にある海水のたまりに舟の影が映っている。だが、実際
の舟はどこにも描かれていない。空にはいろんな種類の巨大な貝が標本のように並
べられ、手前の岩には普通サイズの貝やヒトデ、ウニが置かれている。この画家が
描いた他の作品を見てみたくなった。現在、東京芸大の教授らしいが、充分納得
がいく。

山本丘人の名画を沢山見れたし、堀越保二という才能豊かな画家にも出会った。
満足度150%の展覧会であった。

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