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2005.11.26

横山大観の生々流転

226東京国立近代美術館の平常展に現在、横山大観作の“生々流転”(後半)が展示してある(12/18まで)。

大観の代表作である“生々流転”(重文)はこの時期の恒例行事として公開されるが、昨年は確か前半、後半全部一度にでてたように記憶している。

今年は、2回に分けて展示し、前期(10/8~11/13)に入場したひとは、そのチケット(420円)で後半も見れるようになっ
ている。勿論、他の作品も鑑賞できるので、平常展全部が普段より安く見れること
になる。東近美も観客サービスに気が回るようになってきた。いいことである。

横山大観の“生々流転”は数ある作品の中で、最高傑作のひとつにあげられている。
90歳まで生きた大観の55歳のときの作品。因みに、絢爛豪華な“夜桜”(大倉
集古館)は61歳、“紅葉”(足立美術館)は63歳、そして、“海山十題”は72歳の
ときに描かれている。この“生々流転”は横に広げると40mにもなる大作。天地55
cmの画面に、一滴の水が渓流となり、滝となり、やがて大河になって海にそそぎ
込まれ、最後は龍となって天に昇るという水の壮大な変遷が墨の濃淡で描かれ
ている。

現在、出ている後半は最後のクライマックスの場面が圧巻。そこへ至るまでにも味わい
深い場面が続く。特に目を惹くのが漁村の風景。浜辺では焚き火から白い煙が高くあ
がり、大勢の漁師が舟を引いている。打ち寄せる波頭の白が鮮やか。さらに進むと、
沖に浮かぶ島が現れ、真ん中に朱色の鳥居がある。隣の岩礁には2羽の海鳥が
とまっている。

そこから先は、クライマックスにむかって画面は徐々に深遠で壮大になってゆく。
右の左下がその場面。波の動きが段々激しくなり、北斎の“神奈川沖波裏”のような
波頭が生き物のように左右に荒れ狂い、空には暗雲がたれ込め、雲が風で渦を巻いて
いる。そして、海上の嵐のなかから飛龍が天に昇ってゆく。右の画像からは残念な
がら、龍の姿はよく見えない。実際、ガラス越しでも龍を捉えるのは難しい。じっ
と目をこらしていると、龍がこちらに背をむけて頭を真上にして昇天してるのがわ
かってくる。

画面はここで終わるが、絵のテーマはまた前半の深山の木々の葉に溜まった露
が流れ落ち。。。。と延々と続く。輪廻転生を水の転生に譬えたこの“生々流転は”ス
ケールの大きい、大観、渾身の作品。近代日本画における最高の水墨画と言っ
ていい。

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コメント

いづつや屋さんの熱のこもる解説を読んでいると見にゆきたくなります。
生き物のような、炎のような浪がすごいですね。

投稿: seedsbook | 2005.11.28 15:20

to seedsbookさん
近代の日本画家では横山大観の展覧会を一番よくみてます。
代表作はほとんど済みマークつきです。大観の凄いところは墨の濃淡で
静寂な山水の世界を描き、一方で天分の色彩感覚を発揮し、琳派風の
“夜桜”、“紅葉”を描いてることです。天才とよばれるアーティストはいつの
時代でも多才ですね。

“生々流転”は水墨画の傑作です。はじめのところでは波頭の白を鮮
やかにみせ、シャープに描いてるんですが、最後の荒々しい場面では
墨をたっぷり使い重々しい感じを出してます。55歳の脂がのってると
きの作品ですので、技量が冴えてますが、同時に画家の深い精神性を
感じます。

投稿: いづつや | 2005.11.28 17:51

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