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2005.11.27

王子江水墨画展

2271月10日の拙ブログで取り上げた中国人画家、王子江(おうすこう)が日本で最初に描いた水墨画の大作、“雄原大地”が今、茂原市立美術館で公開されている(11/23~12/18)。入場は無料。

NHKの番組で王子江の高い画技に200%仰天したので、その後、美術館の所在地を確認したり、この大作の展示時期を美術館に問い合わせたりし、公開のときを今か々と待っていた。

初日に出かけ、その願いが叶えられた。100mもある障壁画に体が熱くなるくら
い感動した。横山大観の“生々流転”を長さでも幅でも大きく上回っている。幅は
2mある。長方形の展示室に入って左から“雄原大地”ははじまる。最初は岩が
切り立つ山の高い峰々を白い雲が風に吹かれて漂う場面が続く。垂直に伸びる岩
の先端には松が力強く根を張っている。黄山の松もこんな感じ。松の葉っぱは
長谷川等伯の“松林図”のように荒々しく針のように尖っている。等伯も王子江も
筆さばきが速かったのであろう。

山を下るにつれ、河が現れ、所々に滝が見える。左右何段かをへて水が河に流れ
落ちる音が聞こえてくるようである。河に白い帆舟が浮かび、水面はわずかに
波打ち、細長い水流が幾重にもできている。この水墨画に人は出てこないが、
川辺や周りを岩や松の木に囲まれた高台には家々が見える。右は全体のなかで
一番気に行った場面。構図が素晴らしい。手前の山と対峙している山には滝があり、
白雲は龍が動くように帆舟が停泊している河のほうへ降りてきている。また、松の
配置が巧み。これほど上手に山水を表現した水墨画は日本画でもそうお目にか
かれない。

“雄原大地”の最後の場面は、壮大で運気ただよう世界になってくる。滝もはじめ
出てきた滝とはスケールが違い、幅が広く、三段になり水が激しく落下している。
そして、山は白い雲がびっちり重なりあってできた雲海に覆われ、見えなくなる。
まさに黄山の大雲海。

王子江はこの障壁画で自分の進むべき道は大作であることがわかったという。
99年には第2作目の奈良薬師寺の“聖煌”(しょうこう)を完成させている。他にも
秋田県の千畑町や姫路市中央保険センターなどのために障壁画を制作している。
これらの作品も追っかけてみたくなった。王子江にぞっこん惚れ込んでしまった。
この人はいずれ世界中から注目される画家になるのではないだろうか。

そんな凄い才能を持った画家の出発点が千葉の茂原市だった。絵の腕だけでなく
人間性も素晴らしい中国人画家を心優しい茂原の人たちが支えたのだろう。いい話
である。なお、茂原市立美術館は茂原公園の中にある。TEL:0475.26.2131

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コメント

こんにちは。
以前の記事をさかのぼって拝見して、一番印象に残っていた作家が王子江だったのですが・・何と現在作品が公開中なのですか~千葉はちょっと交通費がかかりそうですが、大変気になります!

投稿: gem | 2005.11.28 12:09

to gemさん
こんばんは。王子江の評判は祖国、中国でもうなぎ昇りのようです。
下絵を描かないでドンドン筆を動かすのですから、驚きます。“雄原大地”
は50枚のパネルのうち、5枚を一般の人々の前で描いてます。
一日6時間、喜多郎のBGMを聴きながら描き続け、15日で完成させた
そうです。その様子を収めたNHKのビデオを見たのですが、速いスピードで
山を、白い雲を描いていきます。とてつもない画才をもった人です。その
現場に居あわせなかったことが、残念でなりません。

長年、日本画を見ていますが、この水墨画に会えたのは一生の思い出
になると思ってます。見てのお楽しみです。

投稿: いづつや | 2005.11.28 17:18

通りすがりのものです。
王さんの個展が現在開催中なのは御存知でしょうか?
〜12月10日(土)
銀座3丁目美術会館1F
ギャラリー青羅
(03-3542-3473)

毎年ほぼこの時期にやっておられます。
わたくしも先日伺ってきましたが、いつもながらのまっすぐでパワフルな絵の数々を楽しんできました。
100Mの壁画とはまた違う王さんの絵が楽しめます。
御本人がいることも多いですよ。


投稿: じゅん | 2005.12.01 01:33

to じゅんさん
有難い情報に感謝しております。会場で大作水墨画を堪能した後、
王子江の画集、“雄原大地”を早速丸善で購入し、毎日眺めてます。
早速個展に足を運ぼうと思います。

投稿: いづつや | 2005.12.01 13:54

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