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2005.10.13

尾形光琳の燕子花図

251久しぶりに尾形光琳の“燕子花図屏風”(国宝)を見た。4年半の修復が終わり、所蔵する根津美術館で今月8日から公開されている。

前回見たのが8年前なので、随分間隔があいた。はじめてご対面したあと、毎年、展示されるので、そのうち、また行こうと思ってたら、予想だにしなかった修復のため、5年近くも淋しい時が流れた。

修復というのは手間隙がかかるらしく、奈良の大和文華館にある風俗画の最高傑作“松浦屏風”の修復にも5年を要した。これからは、この装飾性豊かな名画を短い
間隔で鑑賞できると思うと嬉しくてたまらない。

主役の燕子花図とともに、ここが所蔵してる光琳の作品や東博、京博、MOA、
大和文華館、五島美術館、そして個人などから集まった優品が前期(10/8~
10/23)と後期(10/25~11/6)に分けて、展示される。作品は光琳と乾山だけ
であるが、質的には昨年の琳派展の再現と言ってもよく、よくぞこれだけのものが集
まったなという感じ。流石、光琳作で名高い老舗の根津美術館だけのことはある。
後期には東博から“八橋蒔絵螺鈿硯箱”(国宝)が出品される。

この展覧会の注目度は高く、雑誌“芸術新潮”が10月号で、光琳を特集に組んだ
りしているので、会期中、多くの人がここを訪れるものと予想される。初日の11時に
入館したが、もうかなりの人がいた。女性が多く、若い方も結構いる。

修復された“燕子花図屏風”はどう蘇ったか。金地、燕子花の花の青、そして葉、茎
の緑は鮮やかでよくでている。花弁にみえる濃い青と明るい青のコントラストが
鮮明なのに驚かされる。前見たときの記憶が薄れているが、修復前はこんなに対比
が印象深くなかった。燕子花は六曲一双の屏風の上下2段に、リズミカルに何本
も並べられている。右の右隻のほうが上にあり、光が当たってる様子を出そうとした
のか、明るい青の花弁が多く、濃い青も左隻の右斜めに下がってるように配置さ
れてる燕子花に比べると濃さが深くない。

さっとみると、様式化された燕子花が沢山おかれた平板な絵画空間に見えるが、
上と下の花の並べ方をよくみると、右隻と左隻の交わるあたりに小道があるように
みえ、奥行き感をだしている。よく言われるように、右隻の右から数えた1.5曲に描
かれた燕子花と、同じく右から4.5曲にある花は全く同じ形をしている。左隻の場合、
花の丈が違うので分かりにくいが、右から2曲目にある花の部分が3曲目でも繰り
返されてる。

紅白梅図とともに光琳が描いた最高傑作と評される燕子花図にまた会えた喜びを
かみしめている。後期も追っかけていた“孔雀立葵図”(重文)を見に、足を運ぶので、
再度燕子花図をじっくりみれる。

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コメント

こんばんは。

>様式化された燕子花が沢山おかれた平板な絵画空間に見えるが、上と下の花の並べ方をよくみると、右隻と左隻の交わるあたりに小道があるようにみえ、奥行き感をだしている。

そうですね。
ミニマリズム的なシンプルさを持ちながらも、
奥行き感もしっかり与えていて面白いです。

次はいつ公開されるかわかりませんし、
見ておいて良かったなと思いました。

投稿: はろるど | 2005.10.21 23:59

to はろるどさん
燕子花図の前にいつまで立っていても見飽きないですね。青と緑が
これほど目に焼きつく絵はそうないです。光琳は自分でも能を舞って
いたそうですし、この絵は伊勢物語を題材にとった能、“杜若”を意識
したものでしょうね。平安王朝の幽玄で夢幻的な世界に誘われます。

来年4/15~5/7にまた、ここで円山応挙の“藤花図”(重文)と
一緒に展示されますよ。

投稿: いづつや | 2005.10.22 14:26

根津美術館初めてでした この絵の実物も初めてです

平面で見る写真と屏風で見る本物は違う!と当たり前ですが驚きです
向かって右手の方から見ると、
花が綺麗に斜めに上がって行くのにはっとしました
また、四季の花の屏風絵を2階カラ見たら全然違いますね 
小道があるという印象がコレでも良く分かります 
きっと燕子花も、座敷で立って見たらそう見えるのでしょうね・・

レポupしたらトラックバックさせて下さい

投稿: えみ丸 | 2005.11.04 14:08

to えみ丸さん
燕子花図を鑑賞されてなによりです。琳派ファンが周りに増えるのは
嬉しいことです。屏風絵は右に寄ったり、左端に立ってみたり、真ん中で
足を踏ん張って左右上下見回すとかいろんな見方をするのがいいですね。
前の絵が少し変ってみえますから。また、2階からみるのも一興でしょうね。
大きな絵であればあるほど、見る位置を変えるといろんな風景が見えてく
るのではないでしょうか。

燕子花の場合、右隻に群生する花は横にジグザグ状に配されてるの
で正面から見ると奥行き感がでてます。左隻では、花は左上のほうから
右斜め下に並べられてますから、明らかに右隻の花との間に距離が
あります。こうした空間をつくることで、右隻と左隻を立体的に表現しようと
したのではないかと思います。

様式化された花をただ並べるだけではどうしても平板になりますから、
こういう描き方をすれば多くの燕子花が広い範囲で群生してるように見え
ます。左隻のトリミングは光琳の卓越した意匠感覚から生まれてきたもの
ではないでしょうか。

投稿: いづつや | 2005.11.04 16:38

昨日に引き続き日本画です。
しかも屏風続きです。

一週間経つと記憶が薄れてしまっています。

投稿: Tak | 2005.11.14 22:32

to Takさん
光琳の燕子花図の前に立つと、能のことを思ったり、デザインの楽しさを
感じたり、フルートの音色が聞えてきたりします。Takさんのよう
にフラクタル現象にまで広がっていきます。

観る人のイメージを現代アートのように幾重にも膨らませてくれるので
すから、世界的に人気がでるはずです。光琳は装飾の天才ですね。

投稿: いづつや | 2005.11.15 18:38

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