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2005.10.02

樂吉左衛門展

180先般、東博の東洋館で中国絵画の平常展を見終わって、さあ帰ろうと出口に向かったところ、手前の柱に貼られている一枚の展覧会ポスターに釘付けになった。

“樂吉左衛門展”。主催は菊池寛美記念 智美術館。はじめて見る美術館。すぐ、所在地をメモした。家に帰り、HPで調べるとでてきた。ホテルオークラの隣にある。よく行く大倉集古館や泉屋博古分館とは目と鼻の先。

現代陶器のコレクター、菊池智のコレクションを公開するため、03年4月に開館
している。ここで15代樂吉左衛門の2回目の個展が開かれているというので
早速でかけた。03年、ふくやま美術館であった“樂茶碗の世界展”で15代の陶器
を見て以来、この陶芸家の作品の虜になった。前衛的な絵画をみるような絵付け
と、手捏ね(てづくね、手び練り)による彫刻的な造形をした茶碗に大変感動したの
を昨日のことのように覚えている。

個展は15年前に一回やっただけらしい。今回は1999年から05年春までに
作陶された36点が出品されている。みんな未発表作品。地下の展示室では一
部ショーケースに入れられているが、大半はすぐ目の前でみられる。照明を少し
落した部屋に上手にレイアウトされた茶碗ひとつ々に存在感があり、強い磁力を
発している。

造形的には、3つの茶碗がある。丸い茶碗、03年秋からの丸い舟形の茶碗、04年
秋以降の半筒形の茶碗。丸い舟形ははじめてみる茶碗。手捏ねという成形方法は
自然の感じがでると同時に、箆(へら)で削り上げる工程もあるので作意が入る。
丸い舟形の茶碗からはモダンなデザインの織部が重なってみえる。このあたりの
造形感覚は作者の精神性にもとずくもので、やりすぎると形が崩れてしまうかもしれ
ない。15代のバランス感覚は流石で、現代的で洒落た茶碗に仕上がっている。

装飾的な色使いでは04年秋の作品6点が際立っている。鋭い箆さばきによる粗い
地肌に施された多彩な釉薬が炎の中で発色のいい赤、緑、青、黒を生み出し、装飾的
な景色をつくっている。特に気に入った右の“焼貫黒樂茶碗”を見てると、河井寛次郎
が制作した“三色打薬扁壷”(拙ブログ04/12/2)の赤や緑を思い出す。

作品から離れがたく、4回もまわってじっくり見た。当代樂吉左衛門が新たな作風に
到達した珠玉の茶碗に満足度200% なお、展示は来年の1/31まで。
拙ブログは10/3~6までお休みします。

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