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2005.10.31

シュヴァンクマイエル展

205山口蓬春記念館にクルマを走らせたので、目と鼻の先にある神奈川県立美術館葉山で開催中の“シュヴァンクマイエル展”の中にも、入ってみた。いつもと違って緊張する。

この展覧会のことは1月、ここであったハンス・アルプ展のとき知ったが、作家の名前を聞いたことなかったのと作品が無秩序で暴力的なイメージがしたため、ただ難しいだけではないかと腰が引けていた。

現代アートの展覧会というのは、感じるよりも考えたり、理解しなくてはいけない
作品が多いので、つい食わず嫌いになる。でも、今回は入館料金だけを払い、
面白くなければいつも購入する図録を買わない分、費用が少なくて済むと思って、
鑑賞した。ところが、作品を見ていくうちに面白さが増してきた。

プラハ生まれで現在、71歳のヤン・シュヴァンクマイエルは現代のアンチンボルドで
ありシュルレアリスト。最初のコーナーに、神聖ローマ帝国のルドルフ2世の時代、
皇帝好みのグロテスクで奇怪な絵を描いたアンチンボルド(拙ブログ2//20)への
オマージュの絵やオブジェがある。“食虫動物Ⅱ”という作り物では、真ん中にいる
ふぐのような魚の背中から腹部あたりにかけて、鳥の形をした人間の下半身がつき
ぬけている。その足はサンゴみたいで表面に貝殻がいくつもついている。アンチン
ボルドがみたら、“お前もなかなかやるな、ルドルフの旦那の耳に入れとくよ”と言い
そうな作品が8点ある。

さらに、ヤンの妻、エヴァの描いた面白い絵にびっくりした。秀逸なのがボッティチェリ
の“ヴィーナスの誕生”をパロった“ヴェノウシュの誕生”。エヴァは他にも巨匠たち
の例えば、マネの“草上の昼食”などを真似た絵を何点も制作しているらしい。そして、
真ん中の部屋にあった右のオブジェ、“生と死をめぐる対話”に釘付けになった。

毛の無い男性の頭が向き合っている。その目はバセドー氏病を患ってるのではな
いかと思わせるほどとび出ている。頬や額からは仏像の千手観音のように手がいくつ
も出ており、その手に持ったフォークで相手の白一色の顔、頭を突き刺している。
突いた痕ととして残る点々が実にリアル。かみ合わない対話の度にお互い、フォーク
で突いてるのであろう。この作品は凄く説得力がある。対話の成立しない悲劇を
言葉で訴えるより、これをみてる方が実感できる。普段は芸術品を難しく考えな
いで見ているが、こういう作品にお目にかかると芸術のもってる力の大きさを感じて
しまう。ここでは“不毛の対話”という良く出来た別ヴァージョンを短編フィルム
で見せている。

03年、プラハを訪れたが、人形劇を見せるところがいくつもあった。ここは昔から操り
人形が有名で、ヤンとエヴァが作った人形劇の作品が最後のコーナーに飾ってある。
これらは映画“ファウスト”や“アリス”で実際に使われたもの。予備知識が全くなか
ったヤンのつくるオブジェや映像、そしてエヴァのシュールな絵に大変感銘を受け
た。グロテスクで魔術的な作品だが、ユーモアにも溢れている。来年、新作の映画
が上映されるらしい。面白い作家に出会えて喜んでいる。なお、会期は11/6まで。

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