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2005.10.17

中島宏展

191戸栗美術館から、徒歩10分くらいのところに松濤美術館がある。よくブログでここの展覧会が紹介されるので、いつか訪ねてみたいと思っていた。

で、戸栗美に行くついでに回ろうとHPをチェックしてみたら、陶芸家、中島宏の回顧展をやっていた。以前から注目していた人なので、これはラッキーとばかりに、入場した。料金はたったの300円。

中島宏は中国の陶磁器でも一番難しいと言われる青磁一筋に作品を作って
きた陶芸家で、伝統をそのままコピーするのでなく、現代(いま)に生きる青磁を
創造したことが高く評価されている。現在、64歳。窯は佐賀県武雄市にある。
まだ、人間国宝ではないが、もうすこし経つとそうなるのではと思われる。

これまでみた作品では、1977年に作られた“青白磁壷”(東近美蔵)が強く印象
に残っている。空を思わせる青、なめらかな丸いフォルムに青磁特有のなんと
も言えぬ美しさが漂っていた。この展覧会のことは全然知らなかったので、今回
見せてもらった初期から最近までに制作された壷や大鉢は突然、目の前に現
れたお宝のように思えた。緻密な感じのする青やのびやかな青、そして綺麗な
緑に魅せられる。

中島によると、青や緑の色がまずありきで、形は色に合わせてでてくるという。壷や
大鉢、大皿の表面に刻み込まれた幾何学文様は段々、洗練され複雑になっていく。
青磁というと、中国、龍泉窯でつくられた“青磁下無花生”(国宝、アルカンシェール
美術財団蔵)のような器体の表面がなめらかで、シンプルなかたちのものをイメ
ージしていたが、この陶芸家は個性的で独特の幾何学文様の青磁を生み出して
いる。

右の“青磁彫文掻落壷”(1997年)のように、表面を金属の箆(へら)で削って凸凹を
つくるのは、中国でみた青銅器の形に触発されたためらしい。この幾何学文様は
よくみると、一つの形を左右、上下にそのまま繰り返すのでなく、形は微妙に変化して
いる。決して人工的に見せてないのである。これはこの陶芸家がいつも青磁の原点
である、大自然の美しさをやきものの膚に封じ込めるということを忘れないからである。
文様が複雑になるのは、空や山河など自然が一時として同じ色が無く、いろんな
表情をみせるためで、自然に対して作者が追い求める夢やロマンの現れといえる。

出品作の大半に青磁の特徴である細かいひび割れ、貫入があり、青を引き締めて
いる。陶芸品でこれほど多くの貫入を見たことはいままで無い。これも貴重な経験。
中島宏の創作する“現代(いま)に生きる青磁”を十二分に堪能した。これらを
300円で見せてもらえるなんて、嬉しいやら有難いやら。松濤美術館に感謝。
なお、展示は11/20まで。

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