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2005.10.29

堂本印象の襖絵

203京都美術館巡り旅行の目的の一つは堂本印象の作品を見ることだった。今、立命館大学のすぐ前にある、堂本印象美術館で“新造形作品展”(11/27まで)が開かれている。サブタイトルに“前衛と伝統、竹林寺襖絵を中心に”とある。

だいぶ前、この美術館を訪問したとき、堂本印象の作域の広さに度肝を抜かれた。日本画家がこんな前衛的な抽象絵画を描くのか!しかも晩年になってから。
この画家は歳を重ねても枯れることなく、逆にみずみずしさを保ち、新進のアー
ティストのように、誰も思いつかない新しい造形と天性の色彩感覚で表現された作品
を次々と生み出していった。近代日本画家の中では稀有の才能をもった画家である。

前衛と伝統を一つの画面に表現したのが一連の寺の襖絵。西芳寺(苔寺)、法然
院の住職はよほど芸術への理解があるのか、印象が制作した前衛的な襖絵は
今、寺の一室におさまっている。これらの襖絵の金地には伝統的な山水、松や鶴
といった具象的な対象が描かれているのではなく、墨の太い線や赤や緑、青
などいろいろな原色で彩色された円や長方形で構成されている。金地を背景に描か
れた柔らく変容した抽象的なフォルムはリズミカルで装飾性に満ち、琳派風の
襖絵を連想させる。

こうした襖絵を一度直に見てみたいと前々から願っていたが、高知の竹林寺にある
同タイプの襖絵が今回、40余年ぶりにこの美術館で公開されることになった。
右は4つある襖絵のうちの一つで、“風神”。“雷神”とペアになっている。俵屋宗達
や尾形光琳が描いた“風神・雷神”のような具体的な形は見えない。横や縦にか
すれて、また太く流れる墨線が風神をかすかにイメージさせるだけである。三箇所にみ
える濃い赤のかたまり、右上と左端に描かれた青や黄色、紫などでつくる装飾的
な模様が心を打つ。風神は姿を見せないが、風が画面一杯に吹いている様子は感じ
取れる。

襖絵のほかに、代表作の“交響”やザオ・ウーキーを思わせる墨の線を重ね合わせた
作品など、現代感覚あふれる前衛的な絵画がいくつもでている。堂本印象の世界
にますます惹きこまれていく。作品の数は少ないが、すごく気持ちをリフレッシュし
てくれる企画展であった。

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