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2005.10.24

上村松園展

198日本画の専門館である山種美術館で今、“松園と美しき女性たち展”が開かれている(11/27まで)。ここで、代表的な美人画家、上村松園の作品をまとめてみるのははじめて。

過去、他の美術館であった回顧展に山種美所蔵の名品をちょくちょく見るので、代表作の大半はみてるはずだが、ここの美術館はこちらが想定する以上の数を所蔵しているため、新規の作品がでてこないかと年初から期待していた。

楽しみは松園の絵にとどまらない。他の画家が描いた女性画もあわせて展示する
というのだから、わくわくする。実際、鑑賞してみるとメインディッシュ以外の作品
も優品揃い。赤丸は小倉遊亀の大作、“舞う”(舞妓&芸者)。滋賀県立美であった
大回顧展で一度みたが、感動する名画。とくに、舞妓のほうに見蕩れる。ちょっと
えらのはった顔はタレントの安達祐実を彷彿させる。片岡球子の“むすめ”も目
がぱっちりしていて、愛嬌がある。白い顔と赤地に金で模様どりをした着物が印象的。

北沢映月の描いた“想(樋口一葉)”はユニークな日本画。降る雪を背景に正面を
向いて座ってる樋口一葉の周りには、小説の主人公、“たけくらべ”の美登利、“に
ごりえ”のお力、“十三夜”のお関が線だけで表現されている。また、奥村土牛が
バレリーナの谷桃子をモデルにして制作した名画、“踊り子”がでている。バレリーナ
の雰囲気をよくとらえた,端正で気品に満ちた立像である。今回、珍しいことに
浮世絵のいいのがでている。鈴木春信の“梅の枝折り”、“柿の実とり”。はじめて
お目にかかる絵で予想外のオマケがついていた。

上村松園の作品は全部で18点ある。よく貸し出されるのが大作、“砧”(きぬた)。
謡曲の“砧”を題材にした代表作のひとつ。はじめてみたとき、縦長の大きな絵にびっく
りした。淡水色(うすみずいろ)の衣装を着た妻女の凛とした姿をじっとみていると、
謡曲の世界にだんだん入っていくような気がする。お気に入りは右の“つれづれ”、
“牡丹雪”、“蛍”。とくに、松園の美人画の特徴である優艶なうちに気品の
漂う女性を表現した“つれづれ”に魅了された。

いくつもの作品をみて感じられるのは、日本画を描くのに一番重要と考える線へのこ
だわりである。髪一本々、着物の細かい柄にまでおよぶ緻密な表現には一寸の
隙もない。松園の画技の高さを再認識するとともに、相変わらずの一点の卑俗な
ところのない美人画を堪能させてもらった。

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