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2005.10.10

東博の伊万里、京焼展

184東博の表慶館では今、“伊万里、京焼展”を開催中。平常展で所蔵の陶磁器に慣れ親しんでいるが、これまで、陶磁器の展覧会があるというのでここにやって来たことはない。

陶磁器の名品展というと大体、出光、五島、根津、静嘉堂文庫と決まっている。だから、日本美術の殿堂、東博が今回、どんな名器を集めてくるのだろうと、興味深々であった。展示するのが人気の伊万里と京焼なので、否が応でも
テンションが上がる。

チラシをみたときから、これはいけるぞと思っていたが、表慶館の1、2階には
期待にたがわぬ優品がずらっと並べられている(一部は11月に入ってからの展示)。
代表作を各地の美術館や個人から借りてくるのだから、東博の企画力、運営力
は流石である。そして、図録の編集が秀逸。情報が一杯詰まってるだけでなく、
コンパクトで見易い。かなりの量の図録を持っているが、これはベストカタログのひと
つ。これくらいセンスのいいのを作ってくれると、隅から隅まで読むぞという気になる。

その図録で何度もみたくなるほど素晴らしい陶磁器の数々は。。初期伊万里では、
代表作の“染付山水図大鉢”(重文、大和文華館)、“染付花卉文徳利”(重文、MOA)
が揃っている。定番だが、同時に見れるのはめったに無い。久しぶりに山水図大鉢
を見た。3度目だが、見込に描かれた山水の構図と発色のいい青に惚れ惚れする。

古九谷様式にも参る。はじめてみる“色絵茄子文大皿”と“色絵葡萄文大皿”
(根津美)、そして定番の“色絵蝶牡丹図大鉢”(重文)、“色絵鳳凰図大皿”に心打た
れた。茄子文の青、黄色と地の緑の対比が鮮やかなこと。古九谷色絵の代表作
である鳳凰図は同じ図柄のを石川県立美でみたが、他にもあったとは。作品として
はこの個人蔵のほうがいい。

柿右衛門では、輸出用の大きな“色絵傘人物図有蓋壷”(松岡美)、“色絵花卉文
有蓋八角壷”(重文、出光美)が圧巻。そして、乳白色の素地に赤、緑、青の花模様
が映える瀟洒な壷や徳利にもうっとりする。高い人気を誇る色鍋島の意匠をみると、
陶工たちが現代にワープしたのではないかと思ってしまう。特にはっとさせられたの
が、“色絵三壷文皿”(東博)と“色絵輪繁文三足大皿”。

お目当ての仁清、乾山の京焼のコーナーにくると、もう顔がほてっている。絢爛
豪華な仁清の色絵茶壷が2点ある。見慣れた東博蔵の“月梅図”と静嘉堂の
“吉野山図”。至福の組み合わせ。吉野山図は少し前、静嘉堂で拝見したが、月梅
図と一緒に並ぶとコラボレーションしあって、一層魅力的に見える。10年ぶり
の対面となったのが、右の“色絵鱗波文茶碗”。小さな三角形がつくる幾何学的な
鱗文の上に、口縁から緑釉が意図的に流し掛けられている。この歪んだ意匠に
度肝を抜かれる。仁清はこの茶碗で桃山気風である“傾いた”時代精神を表現した。
織部につながる作風である。

仁清に陶器つくりを学び、乾山焼をつくった尾形乾山の陶器も名品のオンパレード。
兄、光琳が絵を描いた角皿、六角皿が7点(内2点は11月からの展示)。透彫反鉢で
一番の傑作といわれる“色絵紅葉図”、これも秋に因んだ優品“色絵龍田川図向付”も
ある。また、モダンアートのデザインではないかと錯覚する“色絵石垣文皿”(京博)
も驚愕の一品。

陶磁器好きにとっては、ハイな気分が館を出るまで続く、たまらない展覧会。
200%満足した。会期は12/4まで。

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コメント

いづつや様、はじめまして。
アイレと申します、よろしくお願いします。
今回の展覧会はコンパクトにまとまっていて陶磁器初心者の私にも非常に分かりやすい展覧会でした。江戸時代の豊かな意匠やデザインを認識し、またそういった工芸品が世界を魅了した事実は日本人として嬉しくもありました。個人的に仁清の「色絵雉香炉」が見れたのはラッキーでした。
TBさせていただきました。

投稿: アイレ | 2005.12.12 03:09

to アイレさん
はじめまして。書き込み、TB有難うございます。今回は伊万里、京焼
の代表作が沢山でてました。質の高い展覧会に大変満足してます。
デザイン、レイアウト、解説がよく出来ていた図録も拍手ものでした。

“色絵雉香炉”(国宝)が出品されたのはよかったですね。5年くらい前、
金沢で見ました。仁清の作品はこれとMOAにある色絵茶壷が国宝です。
熱海のMOAへ行くと茶壷はいつでもみられますよ。これからもよろしくお
願いします。お気軽に起こし下さい。

投稿: いづつや | 2005.12.12 15:57

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