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2005.10.14

円山応挙の雪松図

188この秋、日本画が好きな人にはご機嫌な日が続く。根津美術館で“燕子花図”を鑑賞したあとは、日本橋に新たにオープンした三井記念館の“三井家名宝展”に出品されてる円山応挙作、右の“雪松図”(国宝)が待ってくれている。

どっちを先に見るかは好み次第だが、近世日本絵画を代表する2点に会えるのだから、こんな贅沢なことはない。二つの展覧会は同じ日、10/8にはじまった。
“三井家名宝展”の会期は前期が10/8~11/13、後期が11/17~12/25.

見所はいろいろあるが、茶道具類も楽しみのひとつ。通期を通して、陶磁器の
お宝が出ずっぱり。和様茶碗で国宝は2点しかないが、その1点を三井家が所蔵
している。それは志野茶碗の名品、“銘卯花墻”(うのはながき)。志野茶碗を
愛する陶芸ファンの誰もが絶賛する茶碗である。仁清の色絵茶壷もいいが、淡い
ピンクと白、口縁の赤い焦げが深い味わいをみせるこの志野茶碗にも感動する。
まだ3回しかみてないが、こんな名器を毎年、見せてくれたらなといつも思う。
ほかにも光悦の“黒楽茶碗 銘雨雲”、長次郎の“黒楽茶碗 銘俊寛”、仁清の
香合や乾山の銹絵の蓋物などが目を楽しませてくれる。

前期における絵画の目玉は応挙の“雪松図”。後期にはまだ見てない“日月松鶴
図屏風”(重文)が展示される。“雪松図”に会うのは今回で3度目。右は雄松
を描いた右隻。左隻は雌松。松の描き方は狩野派とは明らかに違う。権力の象徴
として松を表現したのとは異なり、応挙の松は綿密な写生をもとに品高く描かれ
ている。中央に、力強い太い幹を右上に傾斜させ、そこからリアリティーのある枝を
伸ばし、葉にこんもりと雪をのせている。背景の薄い金地はけばけばしく無く、
光を反射して雪が輝く様が美しい。

技法的には、いろいろ工夫がある。ひとつは輪郭線を用いず、墨面で幹や枝の形を
出してること。もう一つの注目点は紙面の塗り残しで表された雪。雪を白色で描い
てないのである。おおよそ頭のなかで、雪のつもり具合をイメージし、葉の線を描き
ながら紙面を残していく。これは高い力量をもつ画家でしかなしえない描き方。
この“雪松図”はパトロンであった三井家の依頼で制作されたもの。同じく注文に
より描かれた“郭子儀祝賀図”という優品が隣にある。これも見逃せない。

高い満足度の得られる名宝展であった。後期にでる“日月松鶴図屏風”に期待し、
また日本橋に出かけようと思う。

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コメント

こんばんは。
やっと行ってきました。
個人的に前期の作品が見たかったので
ギリギリ滑り込みセーフ!

茶碗もいいもの持ってますね~三井。
応挙ももちろんでしたが定家の筆に
やられてしまいました。

TBさせていただきます。

投稿: Tak | 2005.11.13 22:26

to Takさん
日本橋にまた美術館スポットができましたね。三越、高島屋の企画展も
最近充実してるので、日本橋界隈へ足を運ぶ回数が増えそうです。

財閥系や五島、根津など老舗の美術館には茶道具、特に茶碗の名品が
ありますね。値段の高い、陶磁器や螺鈿、漆器などの工芸品のほうを
せっせと集めてます。志野、光悦、長次郎、仁清、乾山と豪華ですね。
記念展はこれだから見逃せません。

後期の“日月松鶴図屏風”がもうすぐ見れるので、わくわくしてます。来年、
東博で中国、日本にある書の大展覧会があるようですね。楽しみです。

投稿: いづつや | 2005.11.14 14:30

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受信: 2005.11.13 22:25

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