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2005.10.08

デ・キリコ展

182ブログやHPがあるお陰で、現在、またこれから、どこの美術館でどんな展覧会が開かれるのかという情報が容易かつスピーディに得られる。

10/6から東京駅の前にある大丸ではじまった“デ・キリコ展”ははろるどさんが毎月まとめられてる展覧会情報で知った。うかつにもこの企画展はNO情報だったので大変有難かった。

拙ブログでもデ・キリコは今年、2回書いたので(4/11と7/11)、この画家の
絵に対するテンションが上昇している。ましてや、今まで日本での回顧展に全く縁
が無かっただけに期待度はかなり高く、早速、初日に出かけた。

デ・キリコは長寿の画家で、90歳まで生きている。自画像をみるとイスラエルの
シャロン首相にちょっと似ている。今回出展されてるのは、1960年代以降、80歳
近くになってまた描いた新形而上絵画の作品が中心。デ・キリコの絵をあまりみて
なく、手元にある画集に載ってる代表作は1963年までなので、こんな作品を見
れるのは貴重な機会である。メインの油彩のほか素描、彫刻を合わせて110点が
展示されている。

絵を見ると、初期の頃の特徴、例のイタリア広場や、顔が卵形の無機質なマネキン
が出てくるので絵のなかにはすっと入っていける。だが、どうしてこんなことを思い
つくのかと感心してしまうシュールな組み合わせも出てくる。じっくり見ているといろ
いろ想像力を掻き立てられ、結構楽しい。でも、100%理解できる絵では無いとこ
ろが形而上絵画たる所以。

得意の遠近法で奥行きをつくった部屋の中に、太陽が入り込んできたり“暖炉の
太陽”、海が登場したり“ユリシーズの帰還”する。また、室内でも広場でも、現実と
非現実が交差する何かひんやりとした不思議な空間をつくっていた初期の画風と
比べると、人物や建物などが画面に沢山でてくるようになり、伝えようとしている
メッセージが複雑になっている。

もうひとつ、若い頃はこんな描き方はしなかったなと、おやっと思ったのが右の“愛
と涙/ヘクトルとアンドロマケの抱擁”(1974年)。仮面を被ってるのがトロイ戦争
でギリシャ軍のアキレスと戦ったトロイの勇将ヘクトル。背中をこちらに向けヘクトル
の胸のなかに顔をうずめているのはヘクトルの妻、アンドロマケ。アンドロマケは顔
こそ見えないが、その後姿はマネキン風のヘクトルとは違い、普通の女性にみえる。
後年のダリが妻のガラを写真のように描いたのと同じ心境に、年老いたデ・キリコ
もなったのであろうか。

ダリもブロンズの彫刻を制作しているが、デ・キリコがつくったマネキンタイプの彫刻
(ブロンズに金・銀鍍金)もなかなか魅力的で、所有欲をそそられる。本日、見てきた
隣の方も満足げな顔をしていた。はじめてのデ・キリコ展に大満足。なお、展示は
10/25まで。

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コメント

いづつやさんこんばんは。
僕は大丸年間パスポートを持っていまして金曜に参りましたがうまくまとめられないのです。
何か馬がやたらと出てきたり古代へ回帰したり、永遠を求めている節もありー彼の思想がうまくまとまりません。
図録は分厚く読むのも大変、しかし東洋思想との関係となるとちょっとー。

投稿: oki | 2005.10.09 23:48

to okiさん
出品作を色彩でみると、昔に比べ、ちょっと明るく、深みが無いですね。
空の青ですと、雲がでてきたりで白っぽくなってます。初期の神秘的な
青とはエライ変りようです。他の色も同じ調子です。

デ・キリコの回顧展ははじめてだったので、その形而上絵画を沢山見れた
幸せをかみしめてます。

投稿: いづつや | 2005.10.10 11:27

いづつやさん、デ・キリコのいろいろな面がみられましたが、正直いって不消化な部分が少なくありません。
勉強不足なのか、あるいは勉強など意味がない幻想世界なのか?
彫像のほうが受け入れやすいように思いました。
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/Children051.htm#051011

投稿: とら | 2005.10.13 21:24

to とらさん
今回、白鳥が出てきた絵と闘技場の剣闘士が気に入りました。
色は初期の深いほうがいいですね。不安で不思議な心もちにさせて
くれますので。

解説は難しかったですね。東洋思想との関係のくだりになると、書い
てる人がよく分かってないなと思いました。キャプションは要りませんね。

投稿: いづつや | 2005.10.13 23:35

はじめまして。僕もデ・キリコ展の記事を書いたのでTBさせていただきます。

今回の展覧会は彫刻も充実していましたね。おもわず欲しくなってしまいました。

では失礼致します。

投稿: COZY | 2005.10.14 22:01

to COZYさん
はじめまして。書き込み、TB有難うございます。デ・キリコや
シュルレアリストのダリやマグリッドの不思議な絵に惹きつけられています。

デ・キリコの絵がマグリッドらに大きな影響を与えたことを4月、
アムステルダム市立美術館に飾ってあった作品で知りました。もっと
もっとデ・キリコの絵をみたいですね。これからもよろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2005.10.15 20:40

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