戸栗美術館の初期伊万里展
東博の“伊万里、京焼展”で見た素晴らしい伊万里の余韻が残ってるのだろうか、“初期伊万里展”を開催中(12/25まで)の戸栗美術館に足が独りでに向かう。
ここは陶磁器の専門館で渋谷のBunkamuraから歩いて10分くらいのところにある。新春、はじめて訪れ、古伊万里の色絵や色鍋島などの質の高いコレクションに魅了され続けている。鑑賞する人の期待にいつも応えてくれるところ
はブランド美術館の名に相応しいが、ここもそのひとつと言えよう。
伊万里、京焼展に出ていた染付の大鉢と同類の作品があることを望んでいたが、
本当に並んでいた。11点ある。これだけの数の大鉢を一度に見たのは過去に
経験が無い。最大級の口径47cmが2点ある。絵柄は中国磁器の図案である
山水をコピーしたものが多いが、扇面文、竹蝶文のものもある。素朴な感じだが、
自由で奔放な筆致が味わい深い。
大和文華館所蔵の大鉢(重文)のように、全部が素晴らしい発色の青というわけ
にはいかないが、2つでていた瓶の青の色はMOAの“染付 草花文瓶”(重文)に
負けていなかった。絵付けも素晴らしく、梅樹、山水、唐草文が余白をはさんで
縦にスッキリ描かれている。思わず手にとってみたくなる瓶である。
染付の魅力は何といっても真っ白な磁膚に鮮やかに発色した青であるが、その点
で一番目を楽しませてくれたのが、右の“染付 楼閣山水蘆雁文 水指”。染付
の発色具合も理想的で、太い輪郭線で山水、楼閣が力強く表現されている。
展示は100点ほどあり、見ごたえのある初期伊万里の数々であった。
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