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2005.10.22

佐伯祐三展

196練馬区立美術館で開催中の“佐伯祐三展”(10/23まで)を閉幕間際になってみてきた。

頻繁に通ってる東近美・平常展の常連である“ガス灯と広告”が前回は姿を消していた。いつもそこにあるものがないと、なにか寂しい気がする。30歳の若さで死んだ画家、佐伯祐三とのお付き合いはただ、この一枚を含めて数点なのに日本人洋画家の中で名前だけはすぐ出てくる。

が、この絵をすごく気に入ってるかというと、それほどでも無かった。そのため、
この展覧会のことは知っていたが、出かける計画はなかった。気が変って、
久しぶりに西武池袋線に乗るぞと思ったのは、Yukoさんのブログにゴッホの
“郵便配達夫ルーラン”とともに佐伯祐三の同名の絵が出てきたため。
このブログのお陰で、どこへいったか分からない画集に載ってるこの絵を昔、
見て、佐伯祐三という画家はこんなゴッホもびっくりするような絵を描いてたのか
と感心したことを瞬間的に思い出した。この傑作をみるだけでも価値がある
と感じ、入館した。料金は500円。

作品はデッサンを除いて123点ある。画家に対する本当の好みというのは、ある
程度の数を見てから固まってくるが、佐伯祐三の場合、2,3点くらいしかみて
ないのだから、今までの評価はあくまでも仮のもの。今回、初期から亡くなる直前
に描かれた絵の数々を見て、佐伯祐三の天才ぶりに大きな衝撃を受けた。こん
なに画才の高い画家なら、もっとconcernしていたのに。これまで作品を見る機会
がなさすぎた。残念!でも、ここに代表作のほとんどがでているのだから、感じる
深さは別にして、にわか佐伯祐三通になったことは間違いない。

第2回目のパリ滞在のときに描かれたものにいい絵が揃っている。中でも気に
入ったのが、石壁に張られた広告を描いたシリーズ、カフェレストラン、人物画の
“郵便配達夫”、“ロシアの少女”。右の“ラ・クロッシュ”(静岡県美蔵)は東近美
の“ガス灯と広告”とともに感激の一枚。“ガス灯と広告”は他の広告シリーズと
一緒に見ると、逆にパリの雰囲気を感じさせる名画にみえてきた。これが回顧
展のいいところ。

最初、パリにいた時、店のファサードや広告の門などを真正面から描いた作品では、
佐伯はまだお客さんで、パリに馴染んでないなという印象を受けたが、この絵では、
一部が剥げ落ちてる壁に、文字や行の線が乱雑にびっちり書かれた広告チラシ
が隙間をあけず描き込まれている。息づいてる街の一角を見るようである。そんな
汚いチラシに何ら関心が無いように、前の歩道を女性が通り過ぎる光景が目に
浮かぶ。色んな情報が盛り込まれた広告の絵を描いたということは、佐伯祐三
は好奇心が人一倍旺盛だったのかもしれない。

お目当ての“郵便配達夫”や“ロシアの少女”は、世界のユーゾウ・サエキがフランス
人を唸らせたのではと想像させる、予想以上の名画。こんないい絵を死ぬ直前に
仕上げたというのが凄い。佐伯に影響を与えたブラマンクやゴッホがこの絵をみた
ら絶賛するのではなかろうか。この展覧会を滑り込みセーフで見ることができて
本当に良かった。

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コメント

この画家は有名なのですか

投稿: ヴぉ | 2005.10.22 22:10

今まで、佐伯の作品は「ガス灯と広告」と「郵便配達夫」ぐらいしか記憶になかったのですが、この特別展に行って、佐伯ファンになってしまいました。>>ゴッホもびっくりするような絵を描いてたのか>>本当ですね。きっと、ゴッホも絶賛しますね。それから、「ユトリロ展」の後に行ったからかもしれませんが、ユトリロに似た「白」の出し方にもしびれてしましました。
こんなに佐伯の作品をたくさん鑑賞できて、幸せでした。図書館に新潮社の「佐伯のパリ」という本があったので、今度借りて、またまた佐伯の世界に浸ってみたいと思います。

投稿: Yuko | 2005.10.23 23:17

to Yukoさん
佐伯祐三の絵を見逃さずに良かったです。レストランや靴屋や
壁の広告などを正面から描いた作品に心打たれました。ユトリロ風の
白い壁や赤茶色の店はパリの雰囲気がよくでてますね。

死の到来が早いことを、佐伯は予感したのでしょうか、体調を
崩してからでも必死に描いたんですね。こんな時期によく“郵便配達夫”、
“ロシアの少女”のようなすっきりした絵が描けたものです。神は召さ
れる前にありったけの画才を授けたのでしょうか。長く忘れることの
出来ない展覧会になりそうです。

投稿: いづつや | 2005.10.24 11:50

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