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2005.10.19

日米プレーオフの違い

1932年続けてレギュラーシーズンで首位となり、圧倒的な強さをみせていたソフトバンクがまたもプレーオフで敗れた。

5試合全部福岡ドームでやるという大きなアドバンテージをもらいながら、あの強いソフトバンクがなぜ負けたのか。原因は主砲の松中をはじめとした打撃陣の不振である。城島が想定外の怪我で出れなかったのも痛かった。

実戦から間隔があいた影響は投手より、バッターのほうにでやすい。バッティング
の感覚というものは傍で観るより、ずっとデリケートなものらしい。オープン戦の
最初の頃、バッターはまだ仕上がってない投手の球でもきりきりまいする。だから、
首位で待ってたチームの本来の打撃を狂わせたプレーオフの日程について、真剣
に議論したほうがいい。日本シリーズでも、3週間も実戦を離れているタイガース
の打撃陣の調子が微妙に狂わされて、同じ現象が起きるかもしれない。勿論、
杞憂に終わればいいが。

この間延びした日程はチームのコンディションだけの問題でなく、観てるファンの楽し
みも奪っている。盛り下がることこの上ない。野茂、佐々木、イチロー、吉井、新庄、
松井、田口、大塚、井口らの日本人大リーガーがメジャーリーグのプレーオフ、最後
のワールドシリーズにでて、活躍するのをTVで応援してきた人は、質の高いプレー
が随所に見られる試合そのものにアメリカの野球は面白いなと感じると同時に、
すぐ次のステージに進む試合日程が選手、監督の緊張感を持続させてることに気づく
のではないか。

日本とは違い、レギュラーシーズンが終わると、1日くらいおいてすぐポストシーズン
がスタートする。そして、リーグチャンピオンを決め、すぐワールドシリーズに突入
する。プレーしている選手や采配を振る監督もキツイかもしれないが、タイトな日程
に文句をいう人なんか誰もいない。タフな試合が続くのは皆承知で、それをやりとげ
てこそ、栄光のチャンピオンリングを手にすることが出来る。

大リーガーの目標は、野球人生において一度はワールドシリーズにでること、そして
チャンピオンになること。レギュラーシーズン、ポストシーズンの日程は最後のワール
ドシリーズから逆算して組まれる。感心するのはレギュラーシーズンはアリーグ、
ナリーグの各地区とも一斉に終了するように調整されてるところ。地区ごとに日程を
管理しているスタッフがいて、雨で流れたりするとすぐダブルヘッターを組んでゲーム
の消化数を並べる。それもこれも、すべてワールドシリーズを最大限に盛り上げるた
めである。

日本で日程の問題が真剣に議論されないのは、大リーグの選手とはちょっと違う考
えが、ずばっと言うと、選手、監督の最大の目標がリーグで優勝することで、日本シリー
ズはオマケみたいな感覚が根っこにあるからだ。選手は日本シリーズで負けても
あまり悔しそうな顔をしない。ヤンキースとジョンソン、シリングの2枚看板がいたダイ
ヤモンドバックスが戦った01年のワールドシリーズ、第7戦でダイヤモンドバックス
が勝ち、選手、監督、コーチが歓喜の雄たけびをあげてるのを、ヤンキースの選手
がこの世の終わりのような表情をして見つめていたのを思い出す。日本一が決定した
とき、負けたチームの光景とは対照的である。

もうひとつ、日本とアメリカで選手個人の成績に対する姿勢の違いが日程とも絡んで
いる。日本では個人タイトルは選手の勲章という意識が強く、消化試合でも四球を
なげてタイトルを阻止したりするのはもう常識。首位打者のタイトルなどは、選手
が最後のほうは打率が下がるので試合に出場しなくてもファンもそうとがめない。
タイトルをとるのも選手にとって大きな目標の一つである。それ自体は別に悪いこと
ではない。だが、この風潮が強いため、消化試合をダブルヘッターで一気に減らそう、
そして日本シリーズとの間隔をあけまいという考えを誰ももたない。タイトルを争っ
ている選手間で不公平が生じるというのである。

それほど日本の野球界では、ホームラン王に誰がなったとか、今年は誰が名球会
入りを果たしたとかに関心がいく。選手にとって、日本シリーズより価値がある
ことかもしれない。なぜ、こうなってるかというと、日本では選手の年金などが充実し
てないため、現役を引退してからの稼ぎが大事で、解説者、コーチ、監督になる
とき、このタイトルが物を言うのである。監督、コーチもそのことが分かってるので、
選手にタイトルを取らせようと配慮する。

大リーガーにとって、個人タイトルはたいした勲章ではない。10年大リーグに在籍す
るとかなりの年金がもらえるようになってるのと、彼らの最大の夢がワールドチャン
ピオンになることだからである。タイトル獲得のために目の色を変えることはない。
米国で長い伝統をもつベースボールは地域社会の文化であり、大衆娯楽として人々
に愛されている。たとえワールドシリーズに縁がなくても、選手は試合を楽しみ、
ファンのために全力でプレーする。

ソフトバンクには日本で今一番凄いバッター、松中や大リーグでも通用する城島が
いる。投手も斉藤、若手のイケメン和田、最多勝の杉内、切れのいいスライダーを投げ
る新垣とそろい、野手では人気の川崎もいる。球団の営業は九州をまわり観客を
集め、いつも福岡ドームは満員である。ソフトバンクは選手への投資、観客対策など
で他の球団を上回る経営をし、地元福岡、九州に密着したいい球団運営をしてきた。
そんなチームを応援するファンを2年もがっかりさせてはいけない。チームが弱くて
ロッテに負けたのではなく、日程という野球以外の要因に翻弄されたのである。

ソフトバンクの負けには、時の運というような安直な言葉では片ずけられない大きな
問題が根底に絡んでいる。来年度から、日程の問題をなんとか改善してもらいたい。

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