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2005.09.11

奥田元宋展

16603年、90歳で亡くなった日本画家、奥田元宋の回顧展が今、日本橋高島屋で開かれている。

仕事で広島に住んだお陰で、奥田元宋の絵にめぐり会えた。まとまった形で作品をみたのは1997年、広島県立美術館であった“奥田元宋展”が最初。奥田元宋は広島県吉舎(きさ)町の出身なので、広島県美に代表作の“待月”、“秋巒真如”(しゅうらんしんにょ)などの名画がある。

画家には生まれながらにして身についた色があると言われる。東山魁夷の場合
は青であるが、奥田元宋の持ち色は赤。奥田は60歳を超えて自分の色、赤を発見
する。この赤一色で塗り込められた絵が奥田元宋の最大の魅力。心打たれたの
は“霧雨”(1971)、“奥入瀬 秋”(1983)、“紅嶺”(1987)、右の“彩渓淙々”
(1994)。自然の雄大さや厳しさ、やさしさをとらえた画家の心象風景が見事に
表現されている。

“霧雨、紅嶺”では遠景の大自然が荘重かつ幽玄的に描かれてるのに対して、“彩渓
淙々”は秋の景色を近くで感じることのできる作品。赤や黄色に染まった木の葉が目
沁み、河を下る水の音が聞こえてくるよう。“奥入瀬 秋”も同じ調子の絵。対になっ
てる“奥入瀬 春”も心がなごむ。奥入瀬の渓流をまだ見てないのに、この絵でイメー
ジが出来上がっている。

奥田元宋は1993年、84歳の時、銀閣寺の弄清亭(ろうせいてい)の襖絵を完成
させている。いつか見たいと願っている“流水無限”という作品が今回出品され
ている“奥入瀬 春”によく似ている。この絵を見ていた隣の女性が連れの人に、
“銀閣寺の絵のほうがこれより素晴らしい。流れる水の音がもっと聞こえてくる
わよ”と話していた。小耳にはさむとなんとしても見たいと思うようになる。

奥田元宋が生まれた吉舎町のすぐ上のほうに三次市(みよし)があり、ここに今、
奥田元宋・小由女(さゆめ)美術館が建てられている。開館は来年4月。機会
があれば訪ねてみたい。なお、この展覧会は9/19まで。そのあと、次の美術館に
巡回する。9/28~10/11(横浜高島屋)、06/1/18~31(なんば高島屋)、
2/23~3/6(京都高島屋)。

余談だが、日本橋高島屋8階の入り口のところに市川団十郎や日本画家、
片岡球子らから届けられた花が沢山飾られていた。奥田元宋という画家の大きさ
の一端を垣間見た思い。

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コメント

いづつやさんの色って何ですか。

アートとは関係ありませんが、私は特定の色は好きなものはありません。無意識に何かを選んでいるのでしょう。茶色系統が多いかも。

投稿: 流風 | 2005.09.12 09:06

to 流風さん
Myカラーは黄色&緑です。黄色は印象派の画家、ゴッホのイエロー
パワーの影響です。そして、エル・グレコの絵で使われる輝く緑に
強く魅せられてます。

赤と青の絵、どちらが心地よいかというと、赤の方でしょうか。奥田元宋
の赤は派手でエネルギッシュという感じではないですね。うまく言え
ないのですが、自然の讃歌のようなものを感じます。

投稿: いづつや | 2005.09.12 15:10

黄色&緑もいいですね。

ところで、人はどういうプロセスで、好きな色ができて、その色はその人にどういう影響を与えているのでしょうか。

好きな色を持つということは、イメージが固定化されて、脳の活性化を妨げるような気がするのですが、たいていの人が好きな色を持っているようです。

アートの人々は皆、特定の色を持っているものなのでしょうか。

投稿: 流風 | 2005.09.12 18:54

to 流風さん
人の感性というのは、論理的に説明しにくいですよね。グリーンの
スーツがほかの色よりなんとなく、気持ちがすっきりするというはそれは
それでいいことですよね。他の人はそれがブルーかもしれませんが。
気持ちに合った色があるのは自然かもしれません。

逆に色にこだわらない、特に好きな色が無いというのも別におかしく
ありませんね。年のとり方でも変るでしょうし、住む場所にも影響を受
けるかもしれませんね。中央アジアのほうでは壁をみんな青にぬる
そうです。ここの住人は青がしっくりくるんでしょうね。

形より色彩を重視する画家は持ち色があるかもしれませんね。
色を主張する画家もいますが、そうでない画家もいると思います。

投稿: いづつや | 2005.09.12 19:45

いづつやさんお久しぶりです。
僕はこの画家について知らなかったのですが、代表作が練馬区立美術館、奥入瀬のえが山種にあるのですね。
大画面で相当迫力を僕も受けました。
初期の房総の海を描いた「青」も印象的でした。

投稿: oki | 2005.09.16 02:57

to okiさん
奥田元宋の風景画は感動しますね。とくに奥入瀬の渓流を描いた
作品は見ごたえがあります。今回春と秋の2点がでてましたね。
この画家は川合玉堂の孫弟子です。赤の風景画家として画壇に
確固たる地位を築いてます。惜しいことに2年前亡くなりました。
広島弁丸出しの人ですので、すごく親しみを感じてた画家です。

投稿: いづつや | 2005.09.16 11:58

いづつやさん、こんばんは
この展覧会、ぎりぎりでようやく行けました。
奥田元宋の作品を、まとまった形で見るのは初めてだったので、どれも素晴らしく見れて良かったです。
「元宋の赤」も良いですが、奥入瀬の風景画は感動的でした。
あと、いづつやさんのblog事前に読んでおいて、役立たさせいただきました。ありがとうございました。

TBさせていただきます。

投稿: イッセー | 2005.09.20 02:15

to イッセーさん
奥田元宋は日本画の風景画家としてはトップクラスだと思います。
燃えるような赤で彩色した夜の山野は幽玄な感じがし、心打たれ
ますが、奥入瀬を描いた大作もいいですね。春の緑、秋の赤、水の
流れの白、もう惚れ惚れします。奥田元宋がますます好きになりました。

投稿: いづつや | 2005.09.24 16:16

いづつやさん
こんばんは。

横浜展をみてきました。
東京展の存在は知らず、会期も短いので
あやうく見逃すところでした。あぶないあぶ
ない...

私の感想をTBさせていただきます。

ではでは。

投稿: lysander | 2005.10.07 00:49

to lysanderさん
TB有難うございます。久しぶりに奥田元宋の赤に接しまして、大変
感動しました。青の国民画家、東山魁夷が描く風景画の大作にも心打た
れますが、元宋の絵も魅了ありますね。

100%実景ではなく、元宋の想像力による部分も多いと思いますが、
lysanderさんお気に入りの橙ぽい赤の絵の前に長くいますと、静寂で
幽玄的な世界に包みこまれそうな錯覚を覚えます。

投稿: いづつや | 2005.10.07 16:57

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