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2005.08.09

大谷コレクション肉筆浮世絵展 その二

140ホテルニューオータニの中にある美術館で開催中の大谷コレクション肉筆浮世絵展(後期)をまた見てきた(9/4まで)。

後期の作品数は肉筆41点、版画9点。目玉は江戸初期の風俗画、“舞踊図”(重要美術品)。踊りのポーズをとる4人の舞妓(ぶぎ)が一扇に一人ずつ描かれている。見所は着物の柄。永楽通貨の模様を散らした小袖をまとう舞妓がいたり、扇子の柄が入った着物
もある。綺麗な青や赤、水色の地にモダンな模様が配された小袖を見てるだけ
でも楽しくなる。

同じ舞踊図の絵がもう二つある。一つはサントリー美術館所蔵のもの。もう一つ
は京都市蔵(共に重文)。この舞踊図は6人いる。どの舞妓もハットする意匠
の小袖を着ている。大谷の舞踊図は保存状態が少し劣るかもしれない。それ
で重美となってるのだろう。後期にも勝川春章の“初午図”という名品がある。
宮川長春の“髪すき十郎図”もいい。宮川長春については、今年、東博で
“風俗図巻”(重文)という優品を見て以来、一目置くようになった。

今回一番驚いたのは鈴木其一が描いた右の“吉原大門図”。江戸琳派
酒井抱一の弟子で琳派の画風を更に発展させた鈴木其一にこんな風俗画が
あったとは。同じような思いを昨年あった琳派展でもした。ここに出品された其一
の“群舞図”はびっくりするほどの名品だった。琳派の装飾性豊かな風景画と
風俗美人画がにわかには結びつかないのだが、この絵には心打たれた。

“吉原大門図”では、引手茶屋“山口巴屋”の前を遊女や酔客が行き交う様が
臨場感一杯に描かれている。手前にいる目の悪いあんま師は仕事に行くのであろ
うか。夜の遊郭の賑わいと喧騒が伝わってくる。最近よくお目にかかる英一蝶の
生き生きとした群像図を見るよう。

この頃、江戸は人口100万の大都市だった。夜の吉原に繰り出す金持ち商人
や遊び人旗本はごまんといただろう。両国では一日3千両の賑わいがあった
といわれている。朝は青物市がたち、その商いで1千両。昼は広小路の見世物
で1千両。夜は花火など、隅田川の夕涼みでまた1千両。裏長屋では、1.5両も
あれば1ヶ月をどうにか暮らせたという。金に困らない輩にとって、遊興費
に天井はない。とてつもない金が吉原に落ちたのであろう。

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