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2005.08.29

ファン・エイク

1534月、ベルギーのゲントでファン・エイクが描いた“祭壇画、神秘の子羊”を見て、西洋絵画に対する見方が変った。

古典絵画では、これまでイタリア・ルネサンスのダビンチやラファエロらの作品を中心に見ていたので、どうしてもこれらの絵から出てくる磁力のほうが強く、ファン・エイクの絵に惹きつけられることはなかった。

だが、ゲントの神秘の子羊を見たときの衝撃はマグニチュード7くらいであった。
驚かされるのは鮮やかな色彩と凄く細密に描かれた草花、そして人々が着ている
衣装や飾り物の高い質感。この神秘の子羊を見るためにわざわざゲントを訪れ
る美術愛好家が沢山いるというのがよく分かる。ファン・エイクの最高傑作を見た
という充実感がまだ抜けないでいたら、昨日の新日曜美術館でこの画家の
詳しい解説をしてくれた。

取り上げられた絵は右の“アルノルフィーニの結婚”(部分)。サブタイトルは“密室
のトリック”。この絵は昔、ロンドンのナショナル・ギャラリーで見た。右の妻の着て
いる衣装の緑が強く印象に残ってるのだが、イタリア・ルッカ出身の夫、アルノル
フィーニのちょっと気持ち悪い顔がダメで、あまり見ず、他の絵に向かったのを
かすかに覚えている。同じファン・エイクの作品ならルーブル美術館にある“ロラン
の聖母”やドレスデン美術館所蔵の“三連祭壇画”に魅力を感じる。

“アルノルフィーニの結婚”で描かれてるものは夫妻を除いてみな何かの象徴だ
という。例えば、犬は忠誠を表すとか。イコノロジー(図像解釈学)の権威、パノフス
キー(ユダヤ系ドイツ人)がこの象徴を体系的に分析したらしい。面白かったのは
ファン・エイクが新たにはじめた油絵具の使い方、3つの遠近法、光の表現。
この絵を見るとフェルメールの室内画を連想する。絵を描くとき、いろいろ構想し
たフェルメールのようにファン・エイクも早描きで驚異的な細密描写を生み出している。
今、北方美術の天才画家、ファン・エイクの絵が頭のなかに大きく入り込んでいる。

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