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2005.08.02

明代絵画と雪舟展その3

133迷宮美術館の日本美術特集に、雪舟の解説者として登場した美術史家の島尾新氏が、根津美術館で開かれている“明代絵画と雪舟”を紹介していた。

この展覧会、会期は1ヶ月ちょっとなのに会場の広さの関係で、作品は3回に分けて展示される。図録をみると、3期(8/14まで)の作品もなかなか良さそうなので、また出かけた。

雪舟の絵では、目玉の国宝“慧可断臂図”(えかだんぴず)がでている。
この絵は確か昨年、重文から国宝になった。慧可が自分の左腕を切って、
岩窟の壁に向かって座禅をする達磨に入門を懇願する場面が描かれている。
絵を通して歴史や宗教物語を知ることがあるが、この絵はそのいい例。だが、
この画題はショッキング。慧可の血のついてる左腕はあまり長くはみれない。

達磨も慧可も着ている衣装は太い輪郭線を墨で一気にざあーっと描いて
いるが、顔の眉毛、顎、口ひげは丁寧に筆を走らせて、眼光鋭い僧侶
にしている。洞窟の中は岩が重なるように描かれてるので、奥行き感がある。
そこで厳しい禅の修業を続ける達磨と入門を願う慧可。この絵に会うのは
3回目だが、今回も絵の中に入り込めなかった。通期で出ている“四季山水
図巻”は別の場面に替わっている。

3期で期待してたのは嬰児を描いた作品。“売貨郎図”が3点と“嬰戯図”
がある。貨郎(かろう)とは日用雑貨や鳥や婦人用の装身具などを積んで荷
を担ぎ、売り歩く行商人のこと。売貨郎図には色鮮やかに描かれた雑貨や
かごの中にいる鳥などを売る貨郎と、集まってきた可愛い嬰児が描かれて
いる。嬰児は鳥や飾り物を興味深そうに眺めている。子孫繁栄を象徴する
嬰児図は吉祥画として、中国では早くから流行した。明代に描かれたこの
絵では4人の子供が2人でペアになり、遊びに興じてる。衣装の赤や青、緑
がよく残っている。

日本画でこうした中国風の嬰児を描いた絵を一度見たことがある。それは
02年、山口県立美術館であった“雪村展”にでた“蓮に唐子”。雪村は明代
の絵を見たのか、宮廷の女官と嬰児が登場する絵も描いている。これまで
中国の絵画を見る機会がなかったが、今回、魅力的な明代の絵を沢山見た。
中国絵画は奥が深い。大局的な構図や波の描き方、配色はこれから日本
画を見るときの参考になりそう。

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コメント

はじめまして。
突然お邪魔致します。

素晴らしい情報量と、丁寧なご感想大変勉強になります。

思わずTBさせて頂きました。
自分の稚拙なブログが恥ずかしいですが…

“慧可断臂図”は仰る通り、
とても魅力的なのに、中には入り込めないような威圧的な雰囲気もありますね。
達磨の衣の線といい、「大胆かつ繊細」という形容の具体例にしたいくらいです。

ぜひ今後も、
またお邪魔させて下さいね。

投稿: deepmermaid | 2005.08.07 02:23

to deepmermaidsさん
はじめまして。書き込み、TB有難うございます。この展覧会、
1期では明代絵画と雪舟の画風の関連がピントこなかったのですが、
2,3期の作品には、雪舟が参考にしたのかなと思われる明代の
絵画がありました。これは大きな発見です。雪舟の絵を深く理解する
いい機会でした。これからもよろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2005.08.07 21:10

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表参道にある根津美術館“明代絵画と雪舟”展へ行く。 会期は3期に分かれており、同作品でも展示位置を変え、違う印象で展示するという気合いの入った展覧会。 2期目は逃してしまったので、 1期と今日の3期で、本展を見るのは2回目。 ... [続きを読む]

受信: 2005.08.07 02:08

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