パリ・ギメ東洋美術館
金曜の世界美術館紀行でパリにあるギメ東洋美術館を紹介していた。15年くらい前敢行したパリ美術館巡りで、ここも訪れた。
このギメ美術館で、インドや東南アジアの仏像の傑作を見たのがきっかけとなり、以後アジアの仏像彫刻に興味が湧き、日本で開催されたアジア系仏像の展覧会に足を運んできた。幸いにも、出光美術館が1996年、“ギメ美術館展”を企画してくれたので、
本場の名品をまた見ることができた。
また、02年から03年にかけて、東博などで“パキスタン・ガンダーラ、インド・マトゥラー彫刻展”という凄い展覧会があった。タイへ出張で行ったとき、バンコク国立博物館を訪ね、仏像の数々を鑑賞したのも貴重な体験。
パリのギメ美術館の記憶が薄れかけているのだが、ギリシャ彫刻のようなガンダ
ーラ様式の傑作、“菩薩立像”とクメールの仏像はよく覚えている。“菩薩立像”は出光
の展覧会にも出品された。髭をはやし、気品のある顔をした菩薩が堂々と立って
いる。02年にあった“パキスタン・ガンダーラ展”にはこれとよく似た仏像が何体もあり、
感動の連続だった。ギリシャ彫刻の影響を受けた写実的でどっしりとした仏像である。
11~13世紀頃、今のカンボジアを中心に栄えたクメール王国で制作された仏教彫
刻も印象深い。魅力のポイントは厚い唇とアンコールの微笑み。右の“ナーガに護られ
た仏陀座像”(部分)をじっと見ていると、高貴な美しさに後ずさりするような感じだ
った。口元に謎めいた微笑みをたたえている。他にも“ターラー菩薩座像”という傑作
がある。二つとも、出光美術館にやってきた。バンコク国立博物館にも、8世紀頃の
クメールで作られた青銅の菩薩像があった。タイの東部は当時、クメール王国の
支配下にあったので、ここにもクメール様式の名品が残っている。
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コメント
こんにちは
>高貴な美しさに後ずさりするような感じだ
と言う気持ちよくわかります。
アルカイックスマイルの魅力、ほぼ閉じ気味で下を向いている目にも笑みをたたえている。。
と言う奴ですね。
私も好きです。
↑の写真も素敵です。
投稿: seedsbook | 2005.08.16 15:00
to seedsbookさん
アルカイックスマイルがアジアの仏像に浸透していった経緯に凄く
興味があります。韓国にも微笑んだ仏像がありますが、
日本ではみたことがありません。広隆寺や中宮寺の“菩薩半跏像”
がそれに近いでしょうか。
投稿: いづつや | 2005.08.16 16:40