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2005.07.15

英一蝶

119今、開かれている東博の平常展で一番に見たかったのは“孔雀明王像”と“南蛮人渡来図屏風”(重文)であったが、これと同じくらい感動した絵に出会った。

それは南蛮人渡来図屏風がある部屋に展示されていた英一蝶(はなぶさいっちょう)が描いた右の“雨宿り図屏風”。画集に載っていたこの面白い風俗画をいつか見てみたいと思っていたが、全くノー情報の平常展で願いが叶えられた。
ここの平常展はよくこうした嬉しい展示がある。

“雨宿り図屏風”は名前どうりの絵。武家屋敷の門前で夏のにわか雨を避ける
ため、さまざまな職種や階層の人々が肩を寄せ合っている。行商人、武士、獅子舞
などが見える。右のほうでは子供が柱にぶらさがって遊んでいる。こうした
ユーモラスな群像表現は狩野派の絵師は描かない。京都に生まれた英一蝶は
やがて江戸にのぼり、狩野安信の弟子になるが、後年狩野派から破門されて
いる。題材はともかく狩野派に学んだ英一蝶の筆力はたしか。木の幹は狩野派
流の筆を寝かせた荒い筆致で表現している。そして、屏風には人々が集っ
ている屋敷の門、雨が降り注ぐ二本の木を細かく描き、そのまわりは何も描かず、
一瞬の激しいにわか雨で周りがぼやけている雰囲気をうまく出している。

これまで英一蝶の作品にお目にかかったのは数点しかない。旗本の太鼓持ち
だった一蝶がスキャンダルに巻き込まれ、三宅島に島流しにされたときに描いた
絵が現在、代表作として残ってる。そのひとつ、“四季日待図巻”(出光美術館)を
サントリー美術館が03年に開催した“日本画にみる女性の躍動美展”でみた。この
とき、“吉原風俗図巻”(サントリー美術館)、“布晒舞図”(遠山記念館)も出品
されたのだが、展示替えがあり、残念ながら見逃してしまった。

特に、新体操の選手がリボンを操っているような布晒舞図のことが忘れられず、
遠山記念館で見られる機会をうかがっている。また、静嘉堂文庫で童が牛
を引くのどかな田園風景を描いた初期の頃の作品をみた覚えがある。英一蝶の
画風の一端を今回展示の“雨宿り図屏風”にみた。また、この画家の作品
にめぐり会えればと思う。

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コメント

いづつやさん、こんにちは。

現在、岐阜県美術館で開かれている
「バークコレクシヨン」展にも、
英一蝶の「雨宿り図」がありました。
いづつやさんの文章から見る限り、
国立博物館の図柄とよく似ています。

投稿: めるがっぱ | 2005.07.16 01:08

to めるがっぱさん
岐阜でみられたバークコレクション展は来年1/24から東京都美術
館にきますので、楽しみにしています。英一蝶は“雨宿り図屏風”を
何枚も描いたのでしょうか?バークの雨宿りは是非見てみたいですね。

英一蝶の絵では“布晒舞図”を遠山記念館で見ることを計画して
います。これが実現したらまたブログでご紹介します。

投稿: いづつや | 2005.07.16 11:34

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