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2005.07.13

クールベ

118損保ジャパン東郷青児美術館で7/15まで開催中の17~19世紀フランス絵画展を見てきた。

この展覧会の存在は知っていたが、これまで足が新宿のほうに向かず、80%くらいはパスの気分であった。が、やはりクールベの代表作“出会い、こんにちはクールベさん”を見逃すのはもったいないという思いが強くなり、すべりこみセーフの入場となった。

今回は南フランスの町、モンペリエにあるファーブル美術館の所蔵作品を
90点展示している。クールベの絵を購入した資産家ブリュイアスが、コレクション
をファーブル美術館に寄贈したので、ここにクールベの名画が何点もある。
その内6点がでている。クールベの絵に神経を集中していたので、他の作品
はさらっと見たが、ドラクロアの“室内のアルジェの女性たち”に足がとまった。

クールベの絵に夢中ということはない。この画家の絵ではオルセーにある
大作、“オルナンの埋葬”、“画家のアトリエ”よりも、風景画や自画像のほうに
魅力を感じる。後年に描いた“嵐の後のエトルタの断崖”(オルセー)は一番
好きな絵。モネはこの絵に感銘を受けた後、“クールベのエトルタとは違う
エトルタを描く”と言ったという。国立西洋美術館と大原美術館に波を描いたいい
絵がある。水とか海を描くのは難しいと思うが、クールベは白い波頭をみせ、
岸に押し寄せる波を見事に表現している。生きた現実の姿を写し出すことを
追求したクールベのレアリスム絵画の傑作である。また、ブリジストンやひろし
ま美術館にある雪の中を駆ける鹿の絵にも心打たれる。

ファーブル美術館自慢の“出会い”は大きな絵。絵の具箱を背負ってモンペリエ
の町を訪れたクールベがパトロン、ブリュイアスの出迎えを受けるところを
スナップ写真のように描いている。背景の半分を占める空の青が明るく、
印象派の絵を見るよう。土色の道には3人と犬の影がくっきりとついている。
この絵をみていて、モネが若い頃に描いた“庭園の女たち”(オルセー)を思い出した。

クールベは多弁で自信家。自分の絵を買ってくれる大事なパトロンにたいして頭を
のけぞらすようにして、挨拶を受けている。絵がクールベの性格を如実にあらわして
いる。画家の心根まで出た絵をみるのははじめて。絵のタイトルは“こんにちはクール
ベさん”であって、“こんにちはブリュイアスさん”とはなってない。絵を見るときは絵
の出来ばえに関心があり、画家の人間性まで考えてない。この絵の素晴らしさをそ
のまま受け入れたい。

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コメント

おはようございます。
GWの新宿で見たこの絵を思い出しています。
画面の上半分が水色の空、下半分がでこぼこ道。
私は特にこのでこぼこ道をくいるようにみていたと思います。
写実派の名にふさわしいみごとな表現でした。
あのでこぼこ感、そしてそのでこぼこ道にできた複雑な影、
本当に写真をみているようでした。

投稿: リセ | 2005.07.14 08:28

to リセさん
この展覧会、最後まで迷ってたのですが、クールベの“出会い、こんにち
はクールベさん”は画集に載ってるほどの代表作なので、新宿まで
出かけました。

行って良かったです。クールベの筆力は高いですね。波やエトルタの
絵をみて、この画家の才能に驚嘆しましたが、この出会いも素晴ら
しいですね。リセさんと同じように、この絵の前で、近寄ってみたり、
右に左に移動したりして見てました。

投稿: いづつや | 2005.07.14 16:59

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