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2005.07.11

デ・キリコのイタリア広場

116昨日あったBS2の迷宮美術館は面白かった。幻想的な絵画を描いたデ・キリコとウイーン世紀末の人気画家、クリムトが登場した。

クリムトの場合、ウィーンに行けば“接吻”をはじめ“ベートーベン・フリーズ”などの代表作をみることができるし、日本でもクリムト、シーレの展覧会がよく開かれる。

これに対し、デ・キリコとなると、日本でこの画家の回顧展が開催されたという
記憶がない。一般の美術愛好家はせいぜい、NYのMoMA、グッゲンハイム、
パリのポンピドーを訪ねるくらいが関の山。この3つの美術館にデ・キリコの
代表作がいくつかある。4月、アムステルダムにある市美術館でデ・キリコの
マネキン絵画をみた(拙4/15ブログ)。久しぶりに見たデ・キリコの絵はシュル
レアリスト、マグリットに似ていたので、頭が混がらがったが、日本に帰って
マグリットのほうがデ・キリコの絵から霊感を得たとこを知った。デ・キリコの作品
は画集をみると個人蔵となってるのが多く、見てない絵がまだいっぱいある。

番組ではデ・キリコの代表的な形而上絵画、“イタリア広場”と言われる作品に焦
点をあてて、デ・キリコ芸術の謎に迫っていた。形而上絵画というのはちょっと難し
い言葉だが、人間が五感でとらえられる現実を超えたものを描いた絵のこと。デ・
キリコの絵をみてると、どこかで見たことのある風景だという印象をもつ。よく、
今見ている光景が、そっくりそのまま以前に経験したことがあるような気になると
きがある。でも、それがいつだったか、本当かどうかもわからない。精神分析では
これを“既視感”と呼んでいる。デ・キリコの絵をみたときはこの既視感と似た
感情が生まれる。

右の絵は1991年、日本であったグッゲンハイム美術館展でみた“赤い塔”(19
13年)。1911年から17年にかけて描かれたイタリア広場シリーズのひとつ。
両側のアーケードにはさまれ通りは影で暗くなっており、その先の光が当って
る広場の向こうには円形の赤い塔がでんと建っている。そして、広場には一部し
か見えないがローマの騎士像がある。人が誰のいない広場に騎士像の影が長く
伸びてる。冷ややかで不思議な絵である。イタリアの広場には大勢の人が集まり、
騒々しいはずだが、まったく人を消して、建物、銅像のモノだけの世界にしたら、
こんな雰囲気になるのかもしれない。

デ・キリコの絵にはわからないところが多いが、それでも何か不思議な魅力が
ある。それは既視感のような気がする。

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