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2005.07.10

エゴン・シーレの家族

115今日の新日曜美術館では画家が描いた家族を取り上げていた。美術史家の栗津則雄さんは過去にも別の切り口で内外の画家の作品をいろいろ見せてくれた。

番組の編集の仕方が変わってきて、一人の画家の作品を掘り下げることとは別に、BS2の迷宮美術館でやってるようにひとつのテーマで作品をグループ化してみていこうとしている。海外の巨匠たちの絵と日本画や日本人が
描いた西洋画を同じ土俵で鑑賞してるのが面白い。

今回は家族を描いた絵が時空を超えていろいろ集まった。久隅守景(くすみ
もりかげ)作の“納涼図屏風”(国宝、東博蔵)がでてきたのには驚いた。
なんとものどかな家族団らんの光景だが、この時代、夫婦と子供が一緒に
夕顔棚の下でくつろぐのは例外的なことかもしれない。

小倉遊亀が描いた“径”は02年、滋賀県立美術館であった小倉遊亀展で
一番感動した作品。お母さんの後を女の子と犬が歩調をあわせて進む姿が
ほほえましい。ルネッサンスの巨匠、ミケランジェロの“聖家族・ドーニ家の
トンド”(ウフィツィ美術館)やラファエロの“小椅子の聖母”(ピッティ美術館)
は宗教画の範疇であるが、宗教臭くなく見ててほっとする幸せな家族の
絵である。

栗津氏の分析力は広く、鋭い。ウイーン世紀末の画家、エゴン・シーレが死ぬ
年に描いた右の“家族”がでてきた。ウイーンのベルヴェデーレ美術館でこの
絵をみたとき、他の絵の画風とちょっと違うなと感じた。シーレの絵の中では珍
しくまともな絵。清楚で美しい妻エディットを後ろから抱いているシーレの顔は
すっきりと綺麗に描かれている。まもなく実現する3人家族を待ちきれないのか、
シーレはまん丸な赤ちゃんを描き込んでいる。背景の暗い色調はシーレの
不安な気持ちを表しているのだろうか。

スペイン風邪によりエディットが死んだ3日後に、シーレも同じ病気で息をひき
とった。まだ、28歳の若さである。孤独感と不安な感情を抱いたまま、短い一
生をとじたシーレが最後に描いた絵が“家族”。シーレの端正な顔が今も心に
強く残っている。

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