« 英一蝶 | トップページ | ドレスデン国立美術館展 »

2005.07.17

大谷コレクション肉筆浮世絵展

120ホテルニューオータニの6階にある美術館で昨日からはじまった“大谷コレクション肉筆浮世絵展”をみてきた。

ここに来るのは3回目。正月の新春展では浮世絵、マリーローランサンなど魅力的な作品がいくつもあった。このとき手にした年間展示スケジュールで今回の展覧会を知り、鑑賞を楽しみにしていた。

ホテルの開館40周年を記念するこの展覧会では、ホテルの創業者大谷米太郎
が集めた肉筆浮世絵が前期、後期に分けて100点近く出品される。
展示室は広くないので、展示が前期(7/16~8/7)、後期(8/9~9/4)の2回
になるのは仕方がない。期待の絵は江戸初期に描かれた風俗画の傑作、
“舞踊図”だったが、これは残念ながら後期にでてくる。

肉筆浮世絵でお気に入りは菱川師宣および菱川派と葛飾北斎の師匠であった
勝川春章の作品。初期の浮世絵は墨一色の線描だけの絵で華やかさに
欠けていた。で、町人たちが求めた色のある絵に答えたのが肉筆浮世絵。
これの名手が菱川師宣と懐月堂安度(かいげつどうあんど)。浮世絵の元祖と
言われる絵師である。

鈴木春信がはじめた多色刷りの錦絵の登場で版画が浮世絵の主流になるが、
勝川春章は肉筆で美人画の名作を何枚も描いている。大谷コレクションと同様、
肉筆の浮世絵を沢山所蔵する出光美術館でみた勝川春章の美人画にびっくりし
たことがある。女性の着ている着物の細かな紋様、鮮やかな色彩に目を奪われた。
春章の色使いは飛びぬけて上手い。岩佐又兵衛の絵にでてくる武者の鮮やか
な色をした鎧、衣装をみるよう。前期の勝川の作品は猫と遊ぶ女を描いた
“立姿美人図”。いつみても着物の柄にうっとり。

今回、一番目を楽しませてくれたのは右の伝菱川師宣作、“元禄風俗図”。
これは遊郭の座敷でいろんな遊楽に興じる男女を描いた群像図。これまで観た
師宣の“歌舞伎図屏風”、“北楼及び演劇図巻”(東博)と比べるとぐっと砕けた
絵である。ここには書をしたためる者、三味線を弾く者、仲良く羽織を着せ替える
女などがいる。みんな女性のように見えるが、帯刀し、前髪を残してるのは若衆
と呼ばれた少年。秋草と日輪が描かれた衝立と布袋図の屏風を対角線に配し、
奥行き感を出している。

風俗画のほかに歌川広重のいい風景画がある。構図が素晴らしい“本牧風景図”、
“玉川の富士・利根川筑波図”。最後のコーナーに飾ってある歌川国芳の版画
がまたいい。後期の舞踊図、宮川長春の名画は見逃せない。また足を運びこと
にしよう。なお、ホテルニューオータニは地下鉄銀座線の赤坂見附で下車し、
Dの出口から歩いて一分のところにある。

|

« 英一蝶 | トップページ | ドレスデン国立美術館展 »

コメント

いづつやさん
オフ会ではお世話になりました。
当日は鬼の霍乱で、ほんの短い時間でしたが、
お目にかかれてうれしかったです。
いづつやさんの博識に改めて驚愕でした。
次回は、もっとじっくりゆっくりお話が伺えるよう
体調万全で参加させていただきたいと思っています。
本当に貴重な時間をありがとうござました。

投稿: リセ | 2005.07.17 22:43

to リセさん
東京絵画旅行、お疲れ様でした。何事も思いたったら何とかで、
好きな絵をみるために足を動かすというのはとてもいいことでは
ないでしょうか。名画から大きな感動が得られますし。

今回のオフ会はリセさんやとらさん、また新しい方も参加され、いつに
も増して楽しかったです。こういう場で得られる絵画に関する知識や
展覧会情報は貴重です。Takさんにも提案したんですが、展覧会を
見た後でなくても、もっと頻繁にパーティーを開いたらいいのではと
思っています。また、お会いしたいですね。
暑くなりますが、ご自愛下さい。

投稿: いづつや | 2005.07.17 23:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大谷コレクション肉筆浮世絵展:

« 英一蝶 | トップページ | ドレスデン国立美術館展 »