« 戸栗美術館の鍋島焼展 | トップページ | 明代絵画と雪舟展 »

2005.07.04

江里佐代子展

110截金(きりかね)師、江里佐代子(えりさよこ)を知ったのは02年12月、BSで放映された“国宝100選”という番組。

東博にある仏画の“普賢菩薩像”や大倉集古館の彫刻“普賢菩薩騎象像”に截金技法で描かれた繊細な文様が紹介されたとき、江里佐代子がゲスト出演し、スタジオ内で金箔を仏像彫刻の表面に貼る作業を実演していた。

6枚重ねた極薄金箔を竹刀で切った糸のような箔を、二つの筆をつかって巧み
に直線、曲線に貼り付け、文様を描いていた。集中力の要るシンドイ作業である。
この技が認められ02年、人間国宝になっている。

今、六本木の泉屋博古館分館で江里佐代子のはじめての回顧展が開かれている。
もともと仏画や彫刻に文様を描く技法であった截金を江里は工芸品にまで広げて、
作品を制作している。工芸展ではいくつも賞をとり、この世界では国内だけで
なく、海外でも高く評価されてるようだ。工芸品の展覧会に縁がなく、BSでの実演
だけが頭にあったので、仏像の文様以外の作品をイメージできなかった。

今回は仏像の他、箱、盆、香合などの器物、立体的な屏風、衝立、額などが125点
出品されている。どれもはじめて見る作品なので息をこらして、截金の高い
技術と豊かな感性で表現された文様の数々をみた。特に彩色された地と貼り付け
られた金箔が見事に融和した衝立や屏風に魅了された。作品のいくつかが
ホテルの所蔵となっていたが、憩いと安らぎの空間にこんな屏風が置いてあったら、
いい気分になるだろう。この截金師の感性は緻密で現代的。衝立のタイトル
には“月光の奏で”とか“コスミックウェーブ”、“ファンタジア”、“夢は大空の彼方に”
などが付けられている。様式化されたデザインの繰り返しをみていると雄大な
宇宙空間にいるような感じになる。

作品の中で一番綺麗な造形を見せてくれるのは手毬を思わせる右の“まり香合”。
香合は茶道具のひとつで、香を入れる容器。球面を綺麗な色彩で分割し、
截金の線がその上に流線型、三角形、草花などの文様を描き出している。この
まり香合が50個くらいあった。鮮やかな色合いと繊細に細工された文様が見事。

江里佐代子の作品がこんなに素晴らしいとは思わなかった。いっぺんにファンに
なった。なお、この展覧会の会期は9/4まで。

|

« 戸栗美術館の鍋島焼展 | トップページ | 明代絵画と雪舟展 »

コメント

こんばんは。
いづつやさんの記事を読んでちょっと江里佐代子の展覧会行ってきました、素晴らしいの一言!
小宇宙から大宇宙までさまざま、くらくらしました。
大倉の普賢菩薩もこの人がさいきんしたとはしりませんでした。
トラックバックさせてくださいね。

投稿: oki | 2005.07.09 00:23

to okiさん
TB有難うございました。江里佐代子の截金作品ははじめて見ました。
衝立、屏風に施された截金文様が素晴らしかったですね。小さな鞠を
嵌め込んだ細工が目を楽しませてくれました。

こういう工芸の世界があったのですね。これから江里佐代子の作品に
注目したいと思います。

投稿: いづつや | 2005.07.09 15:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 江里佐代子展:

» 小宇宙から大宇宙へ [だらだら日記]
行く前に何の期待もしていなかったのにいってみて驚いたということがある、その逆もま [続きを読む]

受信: 2005.07.09 00:28

« 戸栗美術館の鍋島焼展 | トップページ | 明代絵画と雪舟展 »