洛中洛外図屏風
いつも楽しく見ているBS2の迷宮美術館では、本日一時から日本美術を大特集していた。
取り上げてたのは雪舟、葛飾北斎、狩野永徳、円山応挙、横山大観、円空。この番組は普段でも日本絵画のブランド画家の名作をいろいろ紹介しているので、こういう特集ではありきたりの代表作を登場させるのでなく、面白い切り口で作品をみせている。そのため、これまで見たことなかった作品や新しい
話がいくつもでてくる。
例えば、円山応挙が描いた幽霊の絵を供養している東北のお寺がで
てきたりする。また、北斎の場合、版画を取り上げるのではなくて、信州
小布施にある肉筆画の傑作を生放送で紹介していた。円空仏を
何体も見せてくれたのは有難かった。5月、横浜そごうであった円空展
で目が慣れてたので、岐阜県のお寺に多くあった円空仏を夢中に
なってみた。一般の美術愛好家にはまだ、名が知れてない円空に
スポットを当てるとは番組のスタッフはかなり意欲的。お陰で、魅力的な
円空仏を知ることができた。
司会の段田安則が織田信長に扮して説明していた狩野永徳作の
“洛中洛外図屏風”(国宝)はまだ見ぬ日本絵画の傑作。だいぶ前から
この絵を追っかけているが、なかなか展覧会に出てこない。想定される
展覧会の名前は、“狩野永徳と狩野派展”とか、“風俗画展”とか、あるいは
そのものズバリ“洛中洛外図屏風展”。こうし企画を東京国立博物館と
か京博、民間では出光美術館あたりが考えてくれれば、これにお目にか
かれるのだが。今のところ、この手の情報は入ってきていない。で、
米沢市上杉博物館が所蔵のこの上杉本、洛中洛外図屏風を
10/19~11/8に公開してくれるので、期間中訪問することにしている。
室町末期から江戸の初期にかけて制作された洛中洛外図屏風は現在
100点くらいある。その代表作が狩野永徳が30代前半、織田信長の依頼
により描いたとされる洛中洛外図。織田信長はこの屏風を上杉謙信に
贈ったため、代々米沢藩が所有してきた。洛中洛外図は今で言えば
京都の名所スポット、年中行事、遊楽、ファッションなどを、コンパクトに
一枚の紙にまとめた観光ガイドパンフレットのようなもの。
右の屏風は3年くらい前、島根県立美術館でみた誓願寺本、洛中洛外図
(江戸初期の1620年ころの制作)。右下には華やかな祇園祭の山鉾
巡礼の場面が描かれている。この屏風には当時の武士や町人の衣装、
仕事ぶり、酒宴などの状況が実にリアルに表現されている。書物の知識
より何倍かの情報をこの絵から得ることができる。10月、永徳作の
洛中洛外図屏風に会えるのを楽しみにしている。
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