野々村仁清の色絵茶壷
野々村仁清の色絵茶壷に魅せられ、代表作を追っかけてきた。きっかけは随分前、熱海のMOA美術館で見た国宝“色絵藤花文茶壷”。
この茶壷には今年久しぶりにお目にかかった。茶壷の表面をつかって描かれた絵画をみるようで、気持ちがよい。藤の花が咲き誇る様をきれいに描きあげている。
出光美術館の“茶陶の源流展”に当館自慢の右の“色絵芥子文茶壷”(重文)が出品されている。これまでみた仁清の色絵茶壷でお気に入りのベスト4は、MOAの“藤花文”、出光の“芥子文”と東京国立博物館が所蔵している“色絵月梅図茶壷”(重文)、そして福岡市美術館の“色絵吉野山図茶壷”(重文)。
どれも名品だが、感激度の大きいのは出光の芥子文茶壷と福岡市美の
吉野山図茶壷。MOAと東博の茶壷は品があり、優美なのに対し、芥子文
と吉野山図は少し荒々しい仕上げだが、スケールの大きさ、生気を感じる。
出光美術館の色絵芥子文茶壷は茶壷の中では一番大きい。
高さが42cmある。仁清の茶壷の色絵装飾は狩野派の装飾意匠に影響を
うけており、狩野派の絵師に絵付けをさせたか、絵師の下絵をつかった
と言われている。茶壷の隣に狩野派が制作した六曲一双の麦芥子図屏風
があり、屏風に描かれた芥子と茶壷の芥子が似ている。
仁清は轆轤の名人といわれ、轆轤ひきで見事な丸く張った球体に仕上げ
ている。大振りな外見だが、薄く成形されて軽いそうだ。一度でいいから
さわってみたい。かなわぬ夢だが。。赤い花と葉の緑に惹きつけられて、
この茶壺を長く見ていると、花鳥画を見ているような気持ちになる。
これが仁清の色絵茶壷の魅力かもしれない。
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コメント
いづつやさん、こんばんは。
私も仁清の「色絵芥子文茶壷」と狩野宗眼重信「麦・芥子図屏風」に参りました。おっしゃる通り、仁清の魅力は本当に絵付けのみごとさにありますね。芥子の花を豪華に彩る金や銀の使い方も実に効果的でした。金沢の雌雉の銀使いの面白さを想起してしまいました。
ところで、トラックバックさせていただきました。初めてのトラックバックで、上手くいくか、ちょっとドキドキでした(^^;;
投稿: June | 2005.06.06 01:40
to Juneさん
出光の陶磁器展はいつも質が高いですね。仁清の芥子文茶壷は
みる度にいい気分になります。茶壷の丸い形がいいのと、表面に描かれ
た絵に魅せられるのが他の茶碗などとちがうところです。
福岡市美にある吉野山も絶品です。過去2度みたのですが、吉野の
桜をきれいな色使いで見事に表現してます。金沢の雌雉もいい作品ですね。
投稿: いづつや | 2005.06.06 16:45
私も仁清の色絵茶壷のファンです。「色絵芥子文茶壷」と狩野宗眼「麦・芥子図屏風」の対比は、大変興味深く感じました。(残念ながら、屏風のほうには私はまだお目にかかっていないのですが。)
MOA美術館で国宝「紅白梅図屏風」を観たとき、(図柄は全然違うのですが)私はすぐに仁清の「月梅図茶壷」を思い浮かべました。東京国立博物館の茶壷は紅梅ですが、私の所蔵する“月梅図茶壷”には、紅白の梅が描かれています。ペアの壷として作られたものかもしれません。重要文化財の「紅梅」はもちろんすばらしいのですが、私の「紅白梅」だってそれなりに美しいとひそかに思い、自分では「満月紅白梅図茶壷」と命名しています。
投稿: koukikuyo | 2006.02.26 22:19
to koukikuyoさん
はじめまして。書き込み有難うございます。仁清の色絵茶壷をみてるとき
はなんともいえないいい気分になりますね。なかでも一番大きな“芥子文”は
いつも感動します。仁清の茶壷を所有されてるのですか!“満月紅白梅図
茶壷”は美しい茶壷でしょうね。羨ましいです。これからもよろしくお願いします。
投稿: いづつや | 2006.02.27 13:10