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2005.06.14

安井曾太郎

476NHKの日曜美術館では先週、安井曾太郎を取り上げていた。長いことこの番組を見ているが、安井曾太郎の特集をみたのははじめて。同じ洋画の巨匠、梅原龍三郎も登場してない。

現在、茨城県立美術館で安井曾太郎の没後50年を記念した回顧展が開かれているらしい。この企画は東京国立近代美術館が一番ふさわしいような気がするが。。

安井曾太郎といえばすぐ肖像画の“金蓉”(きんよう)を思い浮かべる。
この絵は東近美の平常展の定番。青のチャイナドレスを着た女性はなか
なか魅力的。足を組み、両手を膝の上でむすんだポーズが決まっている。
肖像画ではこの絵しか知らなかったが、昨年4月、島根県立美術館で
開かれた昭和前期の洋画展にほかの代表作が2点出ていた。
“婦人像”(京近美所蔵)と“玉蟲先生像”。安井の画集には必ず載って
いる名作である。目のパッチリした美人が着物姿で椅子に座ってるところを
描いた婦人像は金蓉に負けず劣らずの傑作。

日曜美術館には大原美術館にある“孫”でモデルを勤めた女性が当時の
模様を語っていた。おかっぱの女の子の顔は祭りの白化粧のように白く、
また着ている洋服も白一色。安井はじっとしておれず体を動かす孫を、愛情を
こめてのびやかに描いている。記憶に残る作品である。

風景画では大原にある右の“外房風景”が忘れられない。この絵を大原
美術館ではじめて見たときは感動した。まず、大きさに驚く。横に長いのである。
縦71cm×横203cm。場所は千葉県南房総太海、太平洋に向いた
小さな漁師町。海辺にある旅館の四階の一室からパノラマのように広がる
海を眺めながら、この冬の房総を描いたという。

安井はセザンヌの絵に惹かれていたようだが、この絵を見たときはそのことは
知らなかった。前景の左、松の木が大きくせりだし、家の屋根を覆い隠して
いるのにまず目がいった。前景で家並みを大きく描き、中景に青い海、遠景に
山々を配している。歌川広重の構図をみるよう。色彩的には白を沢山使っている。
石段、木、海の波、そして空の雲。この白が海の青や山の緑をひきたてている。

安井曾太郎はこの絵にたどり着くのに15年かかった。セザンヌの絵のようでもあり、
山水画のようでもある。洋画家が描いた風景画の中では一番好きな絵。
大原に行き、また見てみたい。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。
実は、仙台出張の際にでこの展覧会を見てきました。本当にラッキーでした。その時の感想をTBさせていただきました。

>目のパッチリした美人が着物姿で椅子に座ってるところを描いた婦人像は金蓉に負けず劣らずの傑作。

実は私はこの「婦人像」のほうが好きです。

投稿: リセ | 2005.06.15 00:12

to リセさん
仙台で安井曾太郎展をみられたようで羨ましいかぎりです。安井曾太郎の
代表作は大原や東近美でいくつかみましたが、まとまった回顧展に
残念ながらまだ出会ってません。茨城はちょっと遠いので今回は流れそうです。

宮城県美には風景画の名品が何点もでてたようですね。奥入瀬の渓流は
東近美でちょくちょく観ますが、外房風景とともに好きな絵です。
写実的な描き方ですが、多少省略して骨太な筆致で対象物を表現する
ところが魅力ですね。白の使い方が効果的です。孫なんか祭りに
出かける女の子みたいです。

投稿: いづつや | 2005.06.15 10:44

こんばんは。
おくればせながら安井曾太郎展の記事を
TBさせていただきました。
(稚拙な記事ですみません!)
この外房風景は印象的な作品のひとつでした。
また、あまりに素敵なブログの内容に
勝手ながらリンクさせていただきました。
お許しも得ぬままに申し訳有りません。
不都合がございましたらお知らせください。
それでは今後の更新も楽しみにしていますね。

投稿: ねま | 2005.07.10 23:44

to ねまさん
はじめまして。TB有難うございます。茨城の安井曾太郎展は
横浜から遠いので残念ながらパスです。大原美術館に
ある“外房風景”を大変気に入ってます。これからもよろし
くお願いします。

投稿: いづつや | 2005.07.11 14:33

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